■アート|マルセル・デュシャンの遺作

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1)水の落下、2)燈用ガスが与えられるとすれば……マルセル・デュシャン謎の遺作。
1946〜1966年の長い年月、密かに制作していた作品、死後に発表される。

デュシャンの不可解な殺人事件!

これは、何だ?謎の芸術作品がこれだ!

断っておきますが、上の写真は事件現場ではありません。これはアートである。マルセル・デュシャンの遺作となった作品の一部である。何故に、このような作品を制作したのか、謎である。しかも、デュシャンは1923年以降、ほとんど作品らしいものは創らず、チェスばかりやっていたそうである。

それが、なんと人知れずこのような作品を創っていようとは、まこと美術界の異端児である、デュシャンらしい出来事ではある。現在、この作品はアメリカのフィラデルフィア美術館に永久展示されている。

生きる伝説、密かに作品を創る

先日、デュシャンを取り上げたばかりであるが、どうしてもこの作品を紹介したくて再度登場という訳である。マルセル・デュシャンは、先日紹介した通り、現代美術の概念を創出したと云っても過言ではない功績を残した芸術家である。そのデュシャンは、「大ガラス」と云われる作品を最後に新しい作品の制作を放棄してしまう。

美術界でも、デュシャンはもう作品は創らないという認識で一致していた。したがって、その後は、ただひたすらに生きる伝説のごとき存在と化したのである。この人は、なんと謎めいた行動するのか。その行動自体を作品化しようとでも考えていたのか。それは知る由もないが。

新しい作品の制作を放棄したデュシャンは、自身の過去の作品を複製化し、それらを集めて箱に収録した「グリーン・ボックス」と云われる一種の製品のようなものを造り販売している。自身でも造り、またアルバイトの女性も雇っていたようだ。なんだか、やがて来るポップアート時代のアンディ・ウオーホルのファクトリーを彷彿させる。

また、有名な彫刻家であるブランクーシの初期作品を多数所持しており、高値になったそれら彫刻を必要に応じて売却しては、生活費の足しにしていたようである。それから、チェスである。暇があればチェスをしていたようで、その入れ込みようは半端ではない。しかし、チェスとデュシャンはよく似合うのである。

たぶん、頭脳勝負なところが、かれの芸術と共通するからだろう。


作品の正面部分、扉には覗き穴が開けられている。

死後発表された、衝撃の遺作

1968年、デュシャンは死去した。その死後、ある作品が公表されることになった。それが、「1。水の落下 2。燈用ガスが与えられるとすれば」と題された作品であった。これは、なんとも意味不明のタイトルである。なにしろデュシャンであるから、ま、当然か。この作品は、なにしろ誰もその存在を知らなかったので、美術界に衝撃を与えた。

それは二重の意味で。まず第一に、知らされてなかったこと。そして第二に、その内容である。何故に、このような?。という不可解を通り越した疑問である。写真にあるとおり、まるでデビッド・リンチの映画のワンシーンであるかのような、ある種見事な雰囲気を漂わせている。

この作品は、古めかしい重厚な扉に開けられた穴越しに、覗き込む行為によってのみそれを体験できるように出来ている。たぶん、これらの構造物や覗き込む行為にも意味があるのだろう。そして、覗き込んだ先にあるのは、古色騒然たる景色と草むらに横たわる全裸とおぼしき女性と思われる死体?である。こ、これは何だ?。

誰か、教えてー!と思わず叫ばずにいられようか、と想像するほどに不可解この上ない作品である。

死してなお、謎を残すデュシャンである。デュシャンは、既成の便器を作品化した「泉」のとき同様、生前から準備をし、結果を想定していたと思われる。そして、そのとおり、まさにしてやったりと思っているのかも知れない。ま、デュシャンは、あの世ではあるが…。


作品の全体構造

以下は、生前のデュシャンが語る、制作秘話。
ただし、遺作の作品については一言も語っていない。

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