デザイン界を主導する人々の社会的識見が問われている
■デザインはその重要性が認知されてきたが、元の木阿弥となる可能性も!
東京五輪エンブレム盗用問題は、五輪のみならず他の案件でのデザイン盗用までに発展してきた。もっと単純に考えて似ているものは排除すべきだったのに、いたずらに擁護したために泥沼の様相になりそうな雲行きとなってしまった。
ところが、相変わらず五輪関係者は、法的にも問題は無く、また正式な手続きを経て採用されたデザインであるとして、このまま継続使用していくとしている。
決まったことは守り通すというのは、お役所ならではの発想である。一旦決めたことを覆すのは責任問題に発展するからだ。長いものには巻かれろとばかりに誰に責任があるかは曖昧にして、じっと騒動が止むのを待つことが優先事項となっている。問題を解決するより、そのほうがずーと楽だからだ。
思えば、戦前の軍部の体質がそうであったといわれる。官僚、お役所の体質は、それを受け継いでしまったようだ。新国立問題でも、いまだ誰も責任は取っていない。そして、それを踏襲しているのが五輪エンブレム問題である。
ところで、デザイン業界もいろいろあるが、今回の件ではグラフィックデザイン業界がやり玉に上がるはずである。しかし、この業界団体はとくに発言していないようだ。少なくとも当方は知らない。ちなみに、公益社団法人/日本グラフィックデザイナー協会というものがあるそうだ。
なんでも経済産業省所管の社団法人であるデザイン8団体のひとつであるらしい。8団体を統括?する組織としては、日本デザイン団体協議会というのがある。
<日本グラフィックデザイナー協会の中枢>
永井一正氏/特別顧問
浅葉克己氏/協会会長
この団体の中枢にいる特別顧問と会長が、揃ってエンブレムのコンペ審査員を務めていた。したがって、団体を代表する人が選んだデザインを今更引っ込めることができないのかもしれない。なんだか、新国立問題に似てきたが、ただやっかいなのは団体というバックがあることだ。
日本のグラフィックデザイナーがすべてこの団体に所属しているとは思えない。したがって、この団体がデザイナーの意見を集約している訳ではない。
良識あるデザイナー諸氏は、はたして登場するか。(新国立での槙氏のような)そこにグラフィックデザイン界の社会的識見が問われるに違いない。
ついでにいえば、当方は個人攻撃をするつもりは毛頭ない。それよりもシステムの問題であるという認識をしている。問題は簡単で、似たデザインや、あとからそれが発覚した場合の対処の仕方を事前に用意していたかである。
もし、速やかに問題が処理されていれば、パクリデザイナーなどという不名誉な冠を頂戴しなくて良かったはずだ。システムが機能していれば、デザイナー氏も軽微な中傷程度で済んだと思われる。
いわば、デザイナー氏も被害者のうちかもしれない。それを思うと、日本グラフィックデザイン協会の責任は重いといわざるを得ない。正式なコメントはまだしていないと思うが、安藤忠雄氏の二の舞にはならないようにして頂きたい。
しかし、代理店の思惑には逆らえないのかもしれない。建築デザイン界もおなじく、ゼネコンには逆らえないと思ったが、新国立では建築家は骨のあるところを見せてくれた。はたして、日本のグラフィックデザイナーはどうか?。
ここで見識を示さねば、いつ見せるかである。マスメディアで持ち上げられて偉そうな文化人面も今後はできなくなるに違いない。当方が言ってるのは、ブルータスなどに掲載されてるデザイナー文化人のことである。
若干やっかみもあるが、なんですぐに偉そう?にするのか不思議であった。あー、これは本テーマとは関係がないことであった。あしからず。
しき‐けん【識見】
物事を正しく見分ける力。
東京五輪エンブレム盗用問題、最近の動向について
なんだか、とんでもなく広がりを見せてきて、デザインって何だ?と思うばかりである。昨今、ようやくデザインが重要と認識されてきたのに、これでは遺憾と思うが、日本グラフィックデザイナー協会の面々は、何をどう思うか?。
五輪エンブレムも?広がる波紋 「問題ない」と組織委
お役所であるから、いつも言う事に変わりはない。誰かがトップダウンで仕切らない限り、このまま行けるところまでいくだろう。そして、その行く末はいかに。
佐野研二郎氏 景品トートバッグのデザイン盗用を認め謝罪
これは案外早い対応だったが、もはやいいのがれできなかった事実があったようだ。ただし、オリンピックエンブレムは盗用していないと繰り返している。
デザイナーの森チャック氏 佐野研二郎氏の擁護を撤回「恥ずかしい」
これまで擁護していたデザイナーが、それを撤回したことを表明した。
五輪ロゴ盗作問題「売名でしょ?」指摘にベルギー激怒! もみ消しの裏にうごめく大手広告代理店の闇
代理店は、このままいくのが規定路線らしい。きっと何がなんでも問題を処理せよと号令がかかってるのではないか。当然、お金も飛び交っているかも。
佐野氏擁護の森本千絵氏にも「盗用」の指摘 ユーミンのアルバムジャケットなどがやり玉に
博報堂の後輩デザイナーらしいが、擁護していたらいつのまにか自分にパクリ疑惑が飛び火していた。なんでもユーミンのアルバムデザインであるとか。
佐野氏デザイン取り下げ 米国のデザイナー「法的手段も検討」
サントリーのトートバッグの件で、元ネタと思われる米デザイナー氏が「法的手段も検討する」と話しているとか。
冒頭画像/サントリー、キャンペーン景品のトートバッグのデザイン
なお、一部に不適切な文言があったかもしれません。ご指摘があれば修正いたします。また、多様なご意見を頂けると幸いです。
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