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■社会|アミューズメントの黄昏 栄枯盛衰か

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ゲームセンターの右肩下がりが止まらない!

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楽な業種に甘んじて、壁を超えなかった企業の怠慢か

アミューズメント(ゲーム施設運営)業界が、苦境にあるようである。もっとも、90年代にも言われていたはずである。その後、一時的に盛り返し2007年頃までは、僅かながら右肩上がりの業績を示した。しかし、その後は一気に下降曲線が止まらない。かつて、単一の業種から新業態への転換を目指した時期もあったが、一時期盛り返したことから、それも頓挫したのが災いしたか。

ー日本アミューズメント産業協会によると、2012年度のアミューズメント施設運営の国内市場規模は4700億円。直近5年間で2000億円以上減った。13年度もさらに下ぶれと思われる。

新業態化は困難を極める、旧態然とした体制の方が楽である。したがって盛り返した途端にもう辞めたとばかりに業態化から撤退したのであった。いやはや。

そして、業態化をおろそかにしたツケが、いま廻ってきたという訳である。この業界は、昔から一発ヒットが出れば、しばらくは安泰という空気が支配していたようだ。そんな、ある意味では、夢のようなことを想定した経営が、いままでよく持ったものだ。それも顧客のおかげであるのは、言うまでもない。

消費増税を前にして、ゲームセンターが閉店する傾向が顕著となっている。バンダイナムコも、20店舗あまりを閉鎖すると発表した。タイトーも似たようなことを行うようである。あとは、業界ナンバー1?のセガはどうなのか。たぶん、セガも横並びで行うであろう。間違いない。

しかし、この業界は顧客に甘えて何をしてきたか。増税分の価格転嫁が難しいと言っているが、そんなことよりゲームセンター自体が時代遅れになったのではないか。経営陣は、いまでもヒットする機器が出れば盛り返せると思っているのだろうか。それよりもゲームセンターの空間自体が、顧客にも時代にも合っていないのではないか。そのように感じるが、如何に。

かつては、多くの人で賑わったアミューズメントも顧客がいなければ、機械ばかりが並んだなんとも侘しい空間である。機械で遊ぶ客ばかり(目の前の客)を相手にしていたから、それ以外の顧客(潜在顧客)の開拓をおろそかにしていた。現在の苦境は、そんな、未来を見ていない経営のせいではないか。

アミューズメントの新業態開発

このようなことを書くには、理由がある。それは当該ユーザーは、この業界ナンバー1のS社、そしてN社にも関わったことがあったからである。90年代初頭のバブル崩壊後、アミューズメント業界はすぐには業績への変化はなかった。変調は遅れてやってきた。90年代半ば過ぎになって、この業界にも影響が見えてきた。

そこで危機を感じた経営陣は、アミューズメントの業態化、または新規事業を模索しはじめた。そのようなとき、当該ユーザーはこの業界と関係したのであった。具体的には新業態の企画・提案、新規事業の企画・立ち上げ等である。

ー業態とはー
種類を表す業種に対して、顧客への売り方やサービスに提案を加えたものである。取扱商品の種類で分類するのが、業種である。提供の仕方で分類するのが、業態になる。さらにいえば、商品が先か、顧客が先かの違いでもある。なお、意味性は正確とは言えないまでも、当らずとも遠からずである。あしからず。

それらに関して業務を行っていくうちに、内部事情にも通じるようになった。そこで感じたのは、端的には「理念なき経営」というものであった。アミューズメントとは「顧客に楽しさを提供するサービス業」である。しかし、その実態は機械さえ置いておけば、客はコインを投入してくれる。まるで「自販機ビジネス」であった。ただし、業界で有名な開発陣は本当に優秀であった。

そのような安易な考えに支配されたのが、この業界であった。それは、店舗の空間をみれば一目瞭然である。安普請が当たり前のこの業界では、ローコストが合い言葉であった。何をやるにしてもローコストでなければならない。当時関わったS社の新規事業の担当部長は、「ノーリスク&ハイリターン」を要求していた。なんともはやである。それを承諾した当方も根性なしであった。

そのS社の部長は、当時の社長が施設内にカフェを併設したらどうかと前向きな提案をしたところ、なんとその部長は自販機の方がリスクがなく儲かると言ったのであった。いやはやである。この部長は、「楽しさを提供する企業」より金融会社にでも行った方がいいのではないかと、そのとき思ったのであった。

社長が言った本当の意味は、顧客の滞在時間を長くするサービスの提供であった。それを自販機の方がいいとした担当責任者は何をか言わんやである。しかし、そのような人材を責任あるポストに付けたのも社長であった。端から見ていて人材がいない訳ではなかった。何故、その人がと思うような人事が横行しだすと企業も迷走をはじめるのである。

S社の社長は、アミューズメントを業態化したテーマパーク事業の推進等を行ってきた業界の有名人であった。しかし、当時はすでに頂点を極めたあとで、かつての輝きは多少後退していた。元気な頃であればトップダウンで決めたはずである。それでも、当時にカフェを併設したらと提案したのはさすがであった。機械だらけのゲームセンターに本人も嫌気が指していたのかもしれない。

あまり具体的な内容を書くと差し障りがあるかもしれない。少しだけ当時の事を書いてみると、当該ユーザーは、S社に対して現有資産を活かした上でのコンプレックス業態(複合化)を提案した。資産とは、ゲームに関するあらゆることを指している。ゲーム開発における技術、設備、キャラクター、ストーリーなどである。さらには、顧客もそうである。

それは、すべてをゲームに関連づける、アミューズメントとコンシューマーの融合を目指したのであった。(S社には、家庭用ゲームもあった)S社は、テーマパーク事業を行っていた。そこでは出来なかったことをやろうとした。

前述したカフェもそうである。ただし、ただのカフェとはしない。あくまでゲームと関連あるカフェとする。また、物販には当然のようにキャラクターが活用できる。集客を目的とした舞台というものも考えた。それは、当時人気であったゲームに関連する歌謡ショーなどである。そのイベントでは、ゲームやグッズの販売が期待できた。顧客を中心に据えたシナジー効果を狙ったのであった。

物販には、あらゆる関連商品を揃えることで唯一性をアピールできる。その他にも集客する要素を提案した。しかし、その多くは実現できなかった。それは予算が折り合わなかったからである。ビル一棟まるごとを業態化するという提案には、少なくても改修費用に数億円以上は必要であった。

しかし、それ以上に問題があった。例えば、ゲームやキャラクター商品を直接販売することに躊躇したのであった。それは、既存の販売店に配慮した結果であった。また、機器を削減することも同じくである。売上が予測できないよりは、現状のままの方がましということであった。

また、以外だったのは若い社員のなかに現状維持を望む人達がいたことであった。S社の休憩室で、当該ユーザーが新規事業に携わっていることを知らない社員が、あんなの辞めろと語っていたのを思い出す。当方は、一言も言わずそれを聞いていた。

実現したのは、キャラクターストア

そしてわずかに実現したのが、キャラクターストアのみであった。なんとも不満足ではあったが、仕方がなかった。ちなみにそのストアは、ポケモンセンターなどとほぼ同時期にオープンした。そのストアもしばらくは存続したが、その後社長が退陣し、家庭用ゲーム機は撤退し、アミューズメントは後ろ向きな経営となった。それでも現在まだ存続しているか、それは知る由もない。

とにかくお金が掛けられなかった。満足とは程遠いことであった。例え失敗したとしても、予算のせいにしたかった。それぐらい予算がなかった。

コンプレックス業態が、はたして成功したか。それは、いまや神のみぞ知るである。できなかったことは、必要ではなかったということかもしれない。それでも、当時のアミューズメントには、何か新しいことをやろうと考える余裕がまだあった。まだ、気概が残っていたというべきか。

何故、コンプレックス業態を提案したか。それはS社の前に携わった業務にあった。神奈川県・相模原のアミューズメント型複合施設の立ち上げである。そこは、パチンコ、ゲームセンター、飲食、スーパー銭湯などで構成されていた。当該ユーザーは、そのときは、主にプロモーション(広告・販促・施設内装飾)にしか携わっていない。しかし、その施設の成功(当時は)を見ていたのである。

その経験が、S社への提案の元になっていたのは否めない。本当は、テーマパーク事業に関わりたかったが、すでに当時はディズニー以外は下り坂となっていた。

S社のテーマパーク事業も、ほとんどが失敗におわった。競争相手のN社も同じくである。しかし、N社は飲食テーマパークという新しい試みをしてディベロッパーへの道を切り開いた。しかし、儲かっているか、それは未知数である。

その後S社では、旧経営陣がほとんど姿を消した。そして、いまでは親会社が主導権を握る経営となっている。しかし、経営陣の顔ぶれは変われども、そのダササは変わっていない。ともかく、運営する施設から文化を発信しようなどという気概はまったく伺えない。ドンキホーテのほうが、まだアミューズメントである、などと思う次第である。

それにしても、2000年代以後のアミューズメントには見るべきものがない。もはや、新業態どころか、コスト削減しか目標がなかったのではないか。いったいどんな経営をしていたのか不審を拭えない。顧客に楽しさを提供するどころか。居心地の悪い安普請のダサイ店を造り、顧客離れを促進することばかりしていた。

いま思い出したが、S社は2000年以後は新規事業として自動車教習所のシュミレーターを販売していたはずである。年間150億円を目標としたそうだが、たぶん未達であろう。優秀な開発技術があっても、いかんせん少子化で教習所も顧客が減少しているからだ。なんだか発想がずれているとしか思えない新規事業である。

どうせ、当該ユーザーなどは、もはやゲームセンターなぞに期待することは、何もないのでどうでもいいが、しかし、次世代アミューズメントも開発できずに消えそうな業界とは何ぞやである。多少関わった業界であるので、いまさらながら経営陣の判断にはあきれるしかない。

最後に、もうひとつ。事業部制とは本当に問題ありである。何故か、部門を超える連携を阻むのが事業部制である。当該ユーザーは、この調整に時間と労力を取られたのであった。思い出すだけでも、いやはやである。

追記、上記した内容はあくまで個人の至らなさを起点として書いたものである。相手方企業のせいばかりではない。当該ユーザーの実力がなかったからに違いない。これは本人が言うのだから間違いない。
また、詳細は省き内容を省略しました。誤解を与える部分があるかもしれません。

<アミューズメント/2014年度版>
グローバル化を加速するアミューズメント業界。ゲーム、パチンコ、テーマパーク、複合カフェ、シネコンなどの現状と近未来を詳述。

アミューズメント〈2014年度版〉 (最新データで読む産業と会社研究シリーズ)

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