2001年宇宙の旅は、永久不滅のSF映画か!
情報誌「Time Out」ロンドン版が、「SF映画のベスト100」を発表した。なんでも、科学者や作家、映画監督などSFジャンルに関わったことがある約150人からベスト10を挙げてもらい。それをベースにベスト100を選考したとか。その結果は、予想通りといっていいか。やはり「2001年宇宙の旅」がベスト1に輝いた。
過去にあった似たような企画でも、やはりだんとつのベスト1であった。この映画は60年代後半に公開されたのであと少しで50年が経とうとしている。90年代以降、急速に進化したCGを多用したリアルな映像のSF映画は多数公開された。しかし、CGが進化すればするほど、何故か似たものばかりの印象である。
すでに2001年は過ぎたのに、何故この映画がいまでも賛辞されるのか。それは、やはり設定にあるのではないか。60年代では考えられなかったが、現在ではコンピューターがいつ人間を超える存在となるか。それが現実のものになろうとしている。要するにいつ意識を持つかである。そして、そのときどんなことが起きるか。
さらには、人間の根源に迫る問題を提示したからだ。人間はどこからきて何を目的とした存在か。この曖昧模糊とした理由に抽象的ではあるが、それとなく感じさせている。また、具体的な表現を極力避けているのは、見るものの想像力に働きかける狙いがあったと思われる。
この映画の解説については、映画評論家の町山智宏氏が書いたものがいまのところ個人的には一番しっくりしている。それは「映画の見方が分かる本」に詳しく書かれている。「2001年宇宙の旅」に興味があり、まだ読んでいない人はぜひご覧下さい。
当該ブログ過去記事:■映画|2001年宇宙の旅 SF映画の記念碑!
SF映画ベスト100「Time Out」ロンドン版2014
1.「2001年宇宙の旅」(1968)
2.「ブレードランナー」(1982)
3.「エイリアン」(1979)
4.「未知との遭遇」(1977)
5.「エイリアン2」(1986)
6.「スター・ウォーズ」(1977)
7.「未来世紀ブラジル」(1985)
8.「メトロポリス(1926)」
9.「ターミネーター」(1984)
10.「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」(1980)
なお、この選考に関わったのは、アルフォンソ・キュアロン、ジョン・カーペンター、ギレルモ・デル・トロ、ポン・ジュノ、エドガー・ライト、ギャレス・エドワーズ、ニール・ブロムカンプ、スティーブン・キング、ジョー・ヒルなどだそうです。それ以外にも、ほぼ有名なクリエイターは参加したと思われる。
2位に選出されたのは「ブレードランナー」となっている。これも順当な結果ではないだろうか。しかし、ベスト10のうち新しいものでも約30年前の作品である。そして、当然の如くいずれもCG全盛以前の作品である。また、リドリー・スコット監督は、ベスト10に2本の作品を2位、3位と並べる見事さである。
90年以降の作品が選ばれないのは何故なのか。これはある意味では、SF映画のネタが出尽くした結果か。現在の作品は、いずれも過去のネタを焼き直してCGの技術でごまかしている。そんな穿った見方もできるほど、90年以降の作品の評価が低いようである。CGはたしかにすごい技術だと思うが、それと反比例するかのように製作側のアイデアが追いついていないのではないか。
11.「E.T.」(1982)
12.「遊星からの物体X」(1982)
13.「マトリックス」(1999)
14.「月に囚われた男」(2009)
15.「ストーカー(1979)」
16.「ターミネーター2」(1991)
17.「惑星ソラリス」(1972)
18.「トゥモロー・ワールド」(2006)
19.「ザ・フライ」(1986)
20.「禁断の惑星」(1956)
ベスト20までになってようやく90年以降の作品が現れた。13位「マトリクス」はその設定が斬新だったのは言うまでもない。しかし、そのテーマには「2001年宇宙の旅」の影響がみてとれる。違うだろうか。ウォシャウスキー姉弟は、この作品以後はあまりヒットを飛ばしていない。元兄弟が、いつのまにか姉弟になって話題を呼んだのは記憶に新しい。
14位「月に囚われた男」は、デビッド・ボウイの息子が監督した作品だ。この作品は、あまり知られていないが、予想外に面白い。当方もDVDで観て感心した。監督は、親の七光りとは関係なく実力があるようである。
11位の「ET」であるが、当方はいまだに観ていない。テレビ放映されたと思うが、それも観ていない。この作品の設定にどうも興味、関心が湧かない。したがって今後も観る事はないと思う。あしからず。
12位の「宇宙からの物体X」はお気に入りの作品である。いまでも、ときどき観ている。相変わらず色あせない作品だ。SFとホラーを合体させた作品の先駆けのひとつだと思われる。もし「エイリアン」がなければ、この作品がSFホラーの金字塔に輝いたはずだ。
21.「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)
22.「エターナル・サンシャイン」(2004)
23.「A.I.」(2001)
24.「12モンキーズ」(1995)
25.「ロボコップ(1987)」
26.「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(1956)
27.「時計じかけのオレンジ」(1971)
28.「ラ・ジュテ」(1962)
29.「猿の惑星」(1968)
30.「ジュラシック・パーク」(1993)
27位「時計じかけのオレンジ」は、キューブリックの問題作だ。公開当時は、賛否両論あり、英国では公開が禁止になったとか。ここで描かれる若者の暴力は、現代にも通じるものがある。2000年代に日本でその存在が危険視された反グレもそうである。かならずしも映画と一致するわけではないが、建設的でないどこか不気味な存在感が共通している。
29位「猿の惑星」は、なんと「2001年〜」と同じ年の公開であった。この作品の設定は、いまでも十分過ぎるほど斬新だ。新しいシリーズが作られているが、それもむべなるかな(もっとも)である。もっと上位にランクインしてもおかしくはないと思うが、如何に。
ちなみに30位までの作品でまだ観ていないのは、11位「ET」と28位「ラ・ジュテ」ぐらいである。これを書いているうちにSF映画を観たくなってきた。何を観ようか。とにかく「ET」以外の作品を観たい!。
以上、「SF映画ベスト100」の1位から30位までを紹介しました。
科学者や作家、映画監督が選んだ「SF映画ベスト100」(映画.COMより)
http://eiga.com/news/20140803/12/
<ブレードランナーの未来世紀/町山智宏>
保守的で能天気な80年代ハリウッド映画の陰で、スタジオから締め出された映画作家たちは、異様な悪夢の世界を描いた映画を作っていた。その理由を、入手可能な資料と監督自身の言葉を手がかりに解きほぐす。
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