ハリウッド映画の大作志向の終焉!
ジョージ・ルーカス監督のスター・ウォーズは、現在の大作指向路線の基になったといっても過言ではない!記念碑的作品である。
スピルバーグとルーカスのアメリカ映画界における2大巨頭が、ハリウッドの大作指向に対し近いうちに終焉を迎えるだろうと予言した。
なんでも、昨今のハリウッドでは数億ドル規模の大作でないと製作・配給が難しくなっているようである。大作はそれ自体で客を呼ぶ込むことが出来る反面、転ければたちまち莫大な損害となってしまう。
それが何本か続けば、それは映画界全体に波及し、以降の映画製作に多大な影響を与える事になるようだ。
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ルーカス、スピルバーグでさえ、劇場公開が困難なアメリカ映画界
ここ数年、製作・配給会社は、数億ドル規模のブロックバスターといわれる大作映画への依存が顕著であり、それに対し監督をはじめ制作側には危機感が表面化しているようだ。スピルバーグは、自身の作品である「リンカーン」の配給がなかなか決まらず、危うくテレビでの放映に回されるところだったと云っている。
また、ルーカスも自分がプロデュースした作品の公開に苦労したようである。ハリウッドの製作・配給会社は、かつてのような映画製作の目利きがいるわけでもなく、多国籍企業の親会社の駒に過ぎない幹部によって運営されているのでそれも無理はない。とにかく、以前にも増して儲けることが何よりも優先される世界となったのである。
ルーカスは、大作指向が転けた後は、ブロードウェイ方式の配給システムとなるだろうと云っている。具体的には、1年かそれ以上のロングラン上映が当たり前となるシステムである。したがって、興行的要素が大きくなり費用の掛け方も異なると思われる。チケットも高額になり、映画館も1920年代のような豪華な劇場が出来るかもしれない。
それによって、もしかしたら、映画がかつてのような娯楽の頂点に復活するかもしれない。一方、低予算の映画はすべてテレビでの放映となると予言している。しかし、どうだろうか。現時点ではあまり想像できない世界である。
しかし、製作費の高騰はどこまで続くのか。かつて、1億ドルが大作の目安であったように思うが、昨今では2億ドル、3億ドルも珍しくないようである。収益の目安は、製作費の3倍と云われているが、なんとも大変な世界である。アバターのような映画はそれを軽々と超えて見せたが、すべての大作がそうではないだろう。
莫大な費用を掛けた大作が転けた場合、その後遺症が並大抵では済みそうにないのは想像できる。会社はもちろん、プロデューサーや監督、また俳優も次の作品が撮れるかどうかの瀬戸際に立たされるだろう。彼らのギャラの高さはある意味では、その保証なのかもしれない。
ルーカスは、大作映画は豪華な映画館で高いチケットを払って見るようになり、それ以外の低予算映画は、すべてテレビで見るようになる。と予言しているが、どうだろうか。ルーカスは、オフ・ブロードウェイやオフ・オフ・ブロードウェイのシステムには触れていない。低予算や実験的な映画も上映できる劇場のシステムも必要と思うが如何に。
大作以外は、すべてテレビで見るようになるという予言には疑問である。しかし、アメリカではテレビはケーブルが主体であり、しかも契約性であるから、それも可能なのかもしれない。いまでも、魅力的なテレビドラマが多数あり、そこから映画界に進出する人材が育っている。
ルーカスのプロデュース、スピルバーグ監督のインディ・ジョーンズ・シリーズ!
かつてのニューシネマのようなムーブメントは如何に
かつて、ハリウッドが危機感に包まれた時期があった。それはテレビの登場と定着化にあった。そこで、ハリウッドは50年代後半から60年代はじめに掛けて大作映画に命運を懸けたのであった。成功した作品もあったが、それもやがて行き詰まってしまった。
しかし、60年代後半にはニューシネマという低予算だが、画期的な作品群の登場によって何とか持ちこたえることができたのである。ニューシネマもやがて行き詰まるとふたたび娯楽性と大作指向の作品に回帰したのである。以降、大作指向はどんどんと膨らみつづけて現在に至るのであった。
個人的には、上記した60年代後半のように大作指向の後には、映画作家の知恵と芸術性を持った作品群によるネオ・シネマの登場を期待したい。と思うのである。みなさんは如何に!。
<ブロックバスター『blockbuster』の意味>
1)新聞•雑誌•放送などのマスメディアを動員し、集中的に展開する大がかりな広告戦略。
2)巨額の宣伝費を投入して、意図的に超ベストセラーをつくり出すやり方のこと。
3)巨額な製作費•宣伝費を投入した野心的な超大作映画。
<補説> 原義は、1個で1街区全体を破壊するような大型爆弾のことで、転じて、圧倒的な印象や影響力を与えるものを指す。
以下は、ルーカスとスピルバーグの記念碑的作品!
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