期待せずに観たのに、その音楽に一発でやられた
■1960年代、アボリジニのガールズグループがあった
映画「ソウルガールズ(原題:The Sapphires)」をなんの期待も無く観たところ、いやはやその音楽がなんとも魅力的であったのにびっくりしました。ソウル音楽はやっぱりいいなーと今更ながらに思いました。当然、個人差があるので誰にでもお勧めする訳ではないが、ソウル音楽が好きな人ならきっと気に入るだろう映画であり、音楽であると思います。
「ソウルガールズ」は、ドラマの設定から「ドリームガールズ」に似ていると言われますが、観てみるとだいぶ様相が違っていました。「ドリーム〜」は言うまでもなくシュープリムスがモデルであり、大成功したガールズグループでした。
しかし、「ソウルガールズ」のサファイアズの方は、けっして一流として大成功した訳ではありませんでした。その証拠に、日本で知る人は少ないはずです。彼女達が活躍したオーストラリアで知られているぐらいのようです。
それでも、なかなか魅力的だったのは、背景となったベトナム戦争とそこに慰問団として参加する彼女達との物語性にあります。オーストラリアのネイティブであるアボリジニ出身である彼女達が、人種的偏見が激しかった時代(60年代)を乗り越えてゆく様子が味わい深く描かれています。
また、出演している女優?さんが実にいい感じを出しています。白人至上主義のオーストラリアにあってアボリジニの皆さんは、人間扱いされていなかったようです。映画の中では、彼女達のことを白人達は猿と呼んでいました。
そんな環境下にありながら、彼女達はプライドを保ちつつ、またときにユーモアを交えながら、いわれなき偏見と戦っていきます。
サファイアズ(グループの名称)は、アボリジニの姉妹を中心に結成された。リーダーは、口が達者で何かと喧しいが頼りになる長女、その妹で男に惚れやすいタイプの次女、おなじく妹で、歌がうまくリードボーカルである子持ちの末妹、そして見た目は白人のアボリジニである幼なじみ、という4人であった。
この4人の個性が、実に豊かに描かれていて面白い。女性が4人も集まれば、喧しいのを通り過ぎて仲間割れも必然であるが、そのやりとりも含めて魅力となっている。この映画の原作、脚本家は、モデルとなった実在したガールズグループに参加していた女性の息子だそうです。(原作は同名の舞台劇、2004年)
ちなみに、リードボーカル役をしていたジェシカ・マウボーイは、歌手としてオーストラリアのディーヴァと言われてるとか。
Jessica Mauboy – Gotcha(映画挿入曲)
■「ソウルガールズ(The Sapphires)」のストーリー概要
1960年代のオーストラリア。アボリジニの居住区に暮らすゲイル、シンシア、ジュリーの三姉妹はカントリー・ミュージックのグループを組んで歌唱コンテストに出場するが、先住民であるがゆえの差別を受け、歌の実力はあるのになかなかコンテストで勝利することができない。
しかしながらそんな姉妹はふとしたきっかけから飲んだくれでソウルミュージックファンのアイルランド系マネージャー、デイヴと出会い、ソウルを歌うガール・グループ「ザ・サファイアズ」としてベトナムのアメリカ軍を慰問する仕事につくことになる。
いとこで政府の同化政策によりアボリジニの家族から引き離されていたケイも加わり、四人はベトナムで成功をおさめるが、ベトナム戦争の現場で様々な危険にも遭遇する。デイヴとゲイルはいがみあいながらも互いに対して恋心を感じ始め、民族の壁を越えて結婚を決める。
参考:ウィキペディアより
■ソウルガールズ The Sapphires
監督:ウェイン・ブレア
脚本:キース・トンプソン、トニー・ブリグズ(母親がグループに参加)
原作:The Sapphires (トニー・ブリグズによる舞台版)
出演者:クリス・オダウド
:デボラ・メイルマン
:ジェシカ・マーボイ、他
公開:オーストラリア 2012年
:日本 2014年
上映時間:103分
なお、映画でなく音楽のカテゴリーにしたのは、やはり音楽のほうが映画の魅力より若干上だったからに他ならない。ま、どちらでもよかったが..。
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