■海外ドラマ|ボードウォーク・エンパイア欲望の街 1920年代米国では背徳が栄えていた

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禁酒法は、政治家とマフィアにパンドラの箱を開けた!

1920年代アメリカでは、繁栄の影で背徳が咲き誇っていた

「ボードウォーク・エンパイア欲望の街」は、映画監督マーティン・スコセッシが、はじめてテレビドラマの製作と監督(初回)をしたことで話題となった。ドラマの舞台は、1920年代、禁酒法下のニュージャージー州・アトランティックシティである。そこはラスベガスよりも早くカジノで栄えた街であった。

 そして、このアトランティックシティで、ひとりの政治家が背徳の限りを尽くしていく過程で起こる様々な出来事が描かれていく。その内容は、実在の人物イーノック・ジョンソンとその実話がモデルとなっている。この物語は、ある意味では紛れもなく1920年代アメリカの闇の歴史でもある。

 1920年代は、第一次世界大戦が終わり新秩序の時代に入っていた。欧州では、栄華を誇った帝国が崩壊し、まだ次の時代が見えていなかった。

 それは「アメリカの世紀のはじまり」といっても過言ではなかった。欧州が戦争の後遺症で混乱するなかで、アメリカは戦争の後半になって参加したに過ぎなかった。国内的には、欧州と違って痛手は少なくむしろその反対にあった。

 第一次世界大戦終了後のアメリカでは、敬虔なキリスト教徒によるアルコール反対運動が頂点を迎えていた。当初は、乗り気ではなかった政府や議会もやがてそれを無視できなくなり、1919年についに禁酒法案が成立した。

 そして1920年、「禁酒法」は施行された。と同時にアルコール飲料は政府の取締の対象となった。その取締を担ったのが、アンタッチャブルで有名な連邦捜査官FBIであった。ところが、この禁酒法はとんでもない「ざる法」でもあった。

 1920年代、ニューヨークだけでも数万件の違法な酒場が営業していた。何故なら、取締の要である政治家たちが、収賄されて違法な酒の販売に加担していたからだ。政治家は、最初から禁酒法を建て前として金儲けの手段と見ていた。

 このドラマの主人公も「政治家のひとり」であり、群の収入役という立場を利用して、アトランティックシティを牛耳っている。

 市長、知事、上院議員などを影から操り、利権を一手に握りその分け前を政治家や警察、さらにはマフィアに与えている。禁酒法は、そのような背徳の輩をのさばらせる機会となっていた。またマフィア(とくにイタリア系)には、後の巨大な組織犯罪集団となっていく基盤を作る絶好の機会ともなっていた。

 禁酒法の時代のなかで、後のマフィア界で大物となる人物が台頭していく。禁酒法時代の最大のマフィアである「アル・カポネ」、そして真の大物「ラッキー・ルチアーノ」である。ルチアーノは、この時代に旧世代のボスを粛清しマフィア界の実質トップにまで上り詰めた。

 しかし、かれは独裁の大ボスにはならず、集団指導体制を敷くことで仲間内のいざこざを回避することにした。現在に通じるその体制はこのときに出来た。

 そして、それを作り上げたのはラッキー・ルチアーノであった。ちなみに、アル・カポネはマフィアの正式な一員ではなかった。何故なら、かれはシチリア島出身ではなく、ナポリ出身だからであった。アメリカのマフィア(イタリア系)ではシチリア島出身でないと正式な一員にはなれなかった。

 1920年代にはカクテルが流行っていた。それは人種の坩堝アメリカならではの成せる技か?。それは知る由もないが、人種間にある諸問題も起きていた。クークラックスクラン(KKK)は、黒人への差別運動を積極的に展開していた。

「KKK」は、1920年代よりずーと以前に起源があるが、1920年代初頭ぐらいに再び活性化していた。白人至上主義のこの集団は、黒人、ユダヤ人などを忌み嫌い、とくに黒人には容赦しなかった。1925年頃に頂点を迎えた後、指導者の強姦事件を機に活動は後退していった。(最盛期の会員数/約500万人)

 ちなみに、1910年代には、KKKを描いた映画大作「國民の創生」(1915年、D・W・グリフィス監督)が大ヒットしている。

 アメリカでは1920年代に女性の参政権が成立している。これと関係があるかどうかは判らないが、男女間の性のモラルが緩んだ時代でもあった。ペッティングやスワップ、レズビアンなどが表面化していた。女性のヘアースタイルとスカートは短くなり、家の中ではなく外で活動する女性が増えていた。

 ドラマのなかでも、そのような女性の様子が描かれている。また、性を謳歌した時代に相応しく毎回女優陣が、魅力的な裸体を惜しげも無く披露してくれる。

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マフィアの隆盛は1920年代に起因する!?

 アメリカの禁酒法は、マフィアには願っても無いチャンスとなった。マフィアが巨大化する機会を与えたことは間違いないだろう。また、マフィアが政治家や警察に食い込むきっかけも生んでしまった。

 禁酒法下のアメリカでは、上記したようにニューヨークだけでも数万件の闇酒場が営まれていた。それらはマフィアが経営するか、その影響下にあった。マフィアは、密造酒の製造と販売、酒場の経営などを通して莫大な利益を上げていた。

 警察は言うに及ばず、政治家もかれらの仲間であった。法など無いに等しく、まさにやりたい放題であったと言っていいだろう。

 マフィアのボスや幹部は、表向きは名士として振る舞い有名人などとも交流を深めていた。その交流の場では、酒が振る舞われたのは言うまでもない。それが、アメリカ流の裏表の現実であった。

 実に不思議な国アメリカである。なにが目的か、それがいつの間にか摺り替えられて、犯罪組織を増長させるだけとなっていた。そして、それはいい見本となっていまでもおなじようなことが繰り返されている。

 犯罪が理に適うとしたら、そこにはもはや秩序は無いに等しい。

 アメリカの現在では、かつての酒に変わって麻薬がおなじ存在となっている。この麻薬も、かつてとおなじく政治家や警察の関与が疑われている。

 政治家と利権集団(大企業やマフィア)とのつながりは、腐れ縁としか言い様が無いのかもしれない。

■ボードウォーク・エンパイア欲望の街 あらすじ

<ストーリー>
 1920年、全米で施行された禁酒法を背景に、大胆不敵なやり口で勢力を拡大する大物イーノック・“ナッキー”・トンプソン。

 当時「世界の歓楽地」とまで呼ばれたアトランティック・シティで郡の収入役という地位でありながら賄賂や酒の取引など、ありとあらゆる不正で私腹を肥やす一方、芯が一本通った人間性を持ち合わせる、謎多き人物だ。

 そんなナッキーの手下である野心家のジミー、若きカポネやルチアーノなどギャング達の思惑が絡み合い事態は思わぬ方向へ。さらに禁酒法取締局もナッキーとその牙城であるアトランティック・シティの監視を開始。

 多彩な顔ぶれが集まったこの“帝国”は、激動の時代の中、どんな運命を迎えていくのか……?(引用、WOWOWサイトより)

 このドラマは、現在(2016年3月)huluで独占配信されています。(WOWOWでは配信されていません)

 なおドラマには原作があり、著者はいまニュージャージー州上級裁判所の判事を務めるとともに、アトランティック郡市民局で仕事をしている。

ボードウォーク・エンパイア(原作本)
ボードウォーク・エンパイア

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