■小説自作|コンビニの夜4 真夏の夜のヒーロー

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キューピーハニー参上!!

 じゅうくはたち、アタシの人生には何もなかった。いや、なーんかあったと思うが、どーでもいいことばかりだった。

 実に、じつに残念だと思うばかりだ、「後悔の念、先に立たず」を身を以て知ったアタシだった。アタシのじゅうく(19歳)を返せと言いたいが、それは後の祭りでしかない。人生にもう一度はない、それが人生の宿命だからだ。

コンビニの夜4 真夏の夜のヒーロー

作:cragycloud

登場人物:アタシ(短大在学中からコンビニでバイトをしている)
    :冴子(幼友達)
    :ともみ(コンビニの同僚、マスク美人)

キューピーハニーとは、アタシのことだ

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 ある日、ショッキングな出来事があった。それは、トモダチの冴子とふざけてお互いの体をくすぐり合っていたときに起きた。ちなみに、冴子は信用金庫に勤めている。しかし信用金庫はよく彼女を採用したもんだ。ま、それはどーでもいいが。

「あれ、アンタ…腰がなんか変じゃない」
「な、なーにが変なのよー」

 アタシは、それには思い当たる点があったので、いやーな汗が出る思いになっていた。やばいぞ、ばれたか。

「だって、手がぷにゅって食い込んだから」
「何言ってんの、気のせいよ。そんなの気のせいだから…」

 やばい、冴子はもう気が付いている。それを遠回しに言い換えて、楽しもうとしている。彼女の性格を知ってるアタシには、それがよく分かった。

「気のせいかどーか、確かめさせてもらうぞー」

 と言うなり、いきなりアタシのTシャツの裾を捲り上げていた。「やや、やめてー!」と叫んだときには、すでに遅くアタシのお腹周りは冴子の目に晒されていた。アタシのお腹は、少しぽっこりしてて腰にはくびれがなかった。

「ムフー、フフッフ、やっぱりね」

 冴子は、そう言ってから満足そうな顔を向けてきた。そして一言つぶやいた。

「なんか、キューピーみたいね。でも可愛いよ」

 アタシは、「くっ、屈辱ー」と思いながら、唇をかみしめていた。

真夏の夜の夢

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 空にはどんよりとした雲がたなびき、いまにも雷が鳴り響いて雨が降りそうだった。それは荒廃したいまの世の中によく似合う光景だった。

 荒涼としたコンクリートの廃墟ビル群が広がる湾岸エリア。その地帯はいまや、日本を、いや世界を滅ぼそうと企む悪の巣窟と化していた。そのなかに、かつて「楽しくなければテレビじゃない」とか、ほざいていたテレビ局のビルが、いまでは悪の本拠地となっていた。

 その悪の本拠地に悪の集団と対峙するひとりの女性が現れていた。

「おい、お前はだれだ!」と悪の一味が彼女に言っていた。

 その女性は、黒いタイツにピンクのバストカップというバトルスーツに身を包んで、腰のくびれを強調したラインも凛々しく映えていた。そして、しばし間をおいたあとに彼女は名乗りを上げていた。

「アタシの名は、キューピーハニーーー!」と叫んでいた。

 その声は大きくて、荒涼とした都会のコンクリート砂漠に響き渡るようだった。さらに、続けて彼女は言った。

「この悪のうんこ野郎ども、覚悟おし。月に変わってお仕置きよ!!」と、どこかで訊いたようなセリフを言っていた。

「なな、なにー。うんこ野郎だと、聞き捨てならねーな。野郎どもやっつけろ」とリーダーらしき「うんこ色」のタイツスーツを着た男が叫んでいた。

「ちょっと待ってください、何か変ですよ」
「な、なにが…」
「だって、キューピーハニーって何ですか。キューティーなら知ってるけど、あいつキューピー言いましたよ」

 悪の一味のひとりが、アタシの名前にケチをつけ始めていた。

「しかもですよ。月に変わってお仕置きってなんですか。セーラームーンじゃないですか。あいつ、きっとパッチもんですよ」
「な、なにー…パッチもんか。よし、みんなでパッチもん攻撃だ!」
 
 リーダーの攻撃の合図とともに悪の一味は一斉に叫び始めていた。

「やーい、パッチもん、パッチもん。キューピーってなんだよ、かわいすぎるぜ。腰のくびれを強調してるけど、ちっともくびれてないけどーー」
「どこまでパッチもんなんだよ、恥ずかしくないのかよーー」

 などと悪の一味のパッチもん攻撃は、筆舌に尽くしがたいものがあった。

 アタシは、とにかく頭にきていた。なんだこのうんこ野郎どもは、低俗の極まりも地獄の沙汰次第だ、キューピーハニーはヒーローなんだぞ、などと意味のよくわからんことを思って憤慨していた。

 そして、いよいよ我慢も限界となり、アタシは攻撃を開始した。

「ハニーフラッシュ!」の掛け声とともに勢い良く駆け出した、そして空中高く飛び上がり、悪の一味めがけて飛び蹴りを食らわそうとした。

 そのとき、悪の一味の集団は、モーゼが海を真っ二つに割ったように綺麗に二つに分かれて、アタシの飛び蹴りを躱そうとした。

 そして、アタシは飛び蹴りの態勢を維持したまま、ビルの屋上から落下していた。「いやーーー、ぐあやーーー」と叫びながら…。

<と、ここまでが夢の中…だった>

「てー、ててー、(/ _ ; )ー」とよくわからん叫びを上げながら、アタシは目を覚ました。どーやらベッドのヘッドボードを蹴り上げたようだった。そして、なぜか体の位置が逆になっていた。

 アタシは、足を抱えてしばらく無言で堪えた。なんだキューピーハニーって、と思いながら、そういえばと思い出していた。冴子のやつのせいだ、「キューピーちゃんみたいだね」なんていうからだ。

 そして、「いつか、見返してやるー」と心に誓っていた。

「ぜーてー見返してやるぞー、いーてててー!」

<次ページに続く>

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