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■流行|ギャップ、オールドネイビーを日本から撤退させる

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ユニクロのGUには、追い風となるか

オールドネイビー、日本から撤退し中国にシフトする

 ギャップといえば、ファッションの製造小売業(SPA)を先駆したことで有名であるが、どーもこのところ勢いが失われているようだ。おなじ形態にあるスウェーデンのH&Mの方が、顧客の支持が高いようである。

 ギャップは、本国アメリカでは低価格のブランドであるが、なぜか日本に上陸するとミドル価格のブランドになっていた。

 1995年、日本に上陸したギャップは、物珍しさもあってか、客足も上々のスタートであった。新しい海外ブランドとして認知も拡大するにつれ、その反動も徐々に目立ってきた。海外ではもっと安いのにという認識も広がっていた。

 やがてユニクロが、品質がよくて価格の安さを武器に市場に風穴をあけると、ギャップの形勢は一気に悪くなってしまった。

 ベーシック路線では、ギャップもユニクロもおなじであり、それなら品質もよくて価格が安いほうに流れるのは、ごく当然であった。ギャップは強気にも、日本ではブランド価値を前面に出したが、それが根付いているとは言い難い。

 たしかにユニクロより洗練されてはいるが、価格が高い割には品質が良いとは言いがたく、サイズも日本人に適した展開をしていない。まるでアメ車がいつまでも左ハンドルで販売していたのとよく似ている。

 現在、ギャップだからという理由で支持する固定客がどれだけいるか。あまりいないのではないか、と思うがいかに。ちなみに、当方もギャップの洋服を持っているが、その多くがセール価格で買ったものばかりである。

 たぶん、セール価格でちょうど海外価格とおなじくらいではないか、と思われる。たしかではないが、当たらずとも遠からずに違いない。

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ギャップが日本の「オールドネイビー」全53店舗を閉鎖へ
米ギャップは19日、日本の「オールドネイビー」全53店舗を2017年1月期中に閉鎖することを発表した。グローバルでは「バナナ・リパブリック」の不採算店舗も合わせて75店舗を閉鎖する見込み。長期的成長を目指し、好調な北米を中心に店舗を整理する狙いだ。閉鎖による今年度の売上高減は2億5000万ドル(約270億円)だが、税引き前のコストを2億7500万ドル(約297億円)削減できる見通しだという。

なお、4月30日時点の「オールドネイビー」の店舗数は、北米で1029店舗、アジアで69店舗。

 そんなギャップの戦略に不信を感じていたが、しばらくするとギャップより低価格、トレンド重視のブランド「オールドネイビー」を日本にも上陸させた。

 このオールドネイビーは、ベーシックを基本にトレンド性を取り入れたファッションを、低価格で提供することで成長してきたブランドである。

 ギャップの洗練されたベーシックと、オールドネイビーのトレンド重視・安価のファッションで顧客のニーズをカバーする目論見だったはずである。

 ところが、オールドネイビーは日本に浸透する前に撤退となってしまった。何かが、日本のニーズと合わなかったと思われる。それは何かといえば、ギャップでもおなじことであるが、アメリカ流のファッションを誰もが望んでいるわけではない、ということに尽きるだろう。

 オールドネイビーは、アメリカのトレンドを取り入れ、どちらかといえばヒップホップ系ともいえるファッションが主流のようだった。(ヒップホップばかりではないが、そのように捉えている人も多数いる)

 アメリカの流行が、そのまま日本で受けたのはひと昔前のことであり、いまや日本には固有のファッションが多く育っている。渋谷109や原宿のストリートを見てみれば、それは一目瞭然である。

 また、おなじ低価格、トレンド路線のユニクロのGUが、意外と顧客の支持を集めたのが、オールドネイビーには痛かったに違いない。

 アメリカのトレンドといえど、ヒップホップ系(すべてではない)が、日本の顧客ニーズに適しているとは思えなかった。日本から撤退となったいまでは、そりゃそーだろうねと思うしかない。また、品質の問題も少なからずあったようだ。安かろう、悪かろうの典型という人もいた。

 ギャップは、どこか戦略の舵取りがおかしくなってないか。製造小売業の先駆けではあるが、いまやH&Mのほうが顧客のニーズをくみ取り、いち早く提供する、という製造小売業らしい売り方を実践している。

 オールドネイビーは、中国に集中するといわれているが、中国でどこまで受けるか、注目である。きっとユニクロも他山の石としてでなく、その動向を見守っているはずである。それは自らの今後の路線にも影響するからである。

 ユニクロの場合は、低価格・トレンドのGUは好調であるが、本体のユニクロが不調となっている。そして、ユニクロは低価格にもどると宣言している。

 ちなみに、ギャップには、オールドネイビー以外にも「バナナリパブリック」というブランドがある。こちらは高価格帯であり、富裕層がターゲットとみられる。しかし、これまた日本ではあまり受けていないようだ。

<ギャップ/ブランドの方向性>
ギャップ=洗練されたベーシックなスタイル(いまでは中途半端か)
オールドネイビー=低価格、トレンド重視のスタイル(とにかく安い)
バナナリパブリック=富裕層の上品・上質なスタイル(かつてはサファリスタイルが売りだったが、いつのまにか変更したようだ)

追記:
先日、ユニクロのGUの広告をサイトに載せようと、A8に申し込んだところ断られてしまいました。たぶん、もうひとつのサイト「パスワードは一万年愛す」で、ユニクロを批判する記事を書いたせいであると思われますがいかに。

A8=アフィリエイトの仲介サービス

追記2018年:
 最近では、H&Mが失速しているらしい。ギャップはリストラが功を成してアメリカでは復調のきざしにあるそうだ。おなじく、人種的偏見で評判を落としたアバクロもイメージ刷新により復調が著しいとか。

■社会|ユニクロの失速 ブランドの底上げに失敗か

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