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社会|日本企業の劣化を象徴するか 内定者にSNSでパワハラ、どうかしてるぞ

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日本企業は、いったい何をどーしたいのか

 日本企業にイノベーションが求められてから、ずいぶんと久しい。ところが、どーであろうか。イノベーションどころか、大企業の一部では、目先の利益のために不正会計とやらに猪突猛進する有様である。

 一方、大企業などのトップは口を開けば、イノベーション云々を公言して憚らない。表向きの発言と実態が大きくかけ離れている。

 実際にやってることは、リストラという名目の人員削減ばかりである。

入社内定者にSNSでパワハラとかどうかしてる

 パナソニックの子会社「パナソニック産機システムズ」では、人事担当者が入社内定者にSNSで無理難題(パワハラ)を押し付けた結果、ひとりの大学生が入社2カ月前にみずから命を絶ったそうだ。

内定者にSNSで「辞退して。邪魔です」 入社前に自殺
 就職が内定している企業の人事課長からパワーハラスメントを受け、大学4年の男子学生(22)が入社2カ月前にみずから命を絶ったとして、遺族の代理人弁護士らが9日、記者会見した。

 入社内定者に対応していた人事課長は、入社時の配属への決定権をちらつかせながら、「内定者でつくるSNS交流サイト」に毎日書き込むよう強要していたという。この人事課長は、次のようなパワハラ的言動をしていたそうだ。

「誰がいつサイトに入っているかは人事側で見えています」
「毎日ログインしていなかったり、書き込まない人は去ってもらいます」

 また、書き込みが少ないといった理由で内定者をSNSから排除したり、「無理なら辞退してください、邪魔です」などと内定辞退に言及したりした。

「ギアチェンジ研修は血みどろになるくらいに自己開示が強制され、4月は毎晩終電までほぼ全員が話し込む文化がある」などと、入社後の過重労働を示唆したりしていたという。いやはや。

 これが会社の方針であるならば、とんでもなく時代錯誤も甚だしいと言わざるをえない。当会社はブラック企業である、と宣言しているに等しいだろう。

 大手広告会社である電通で東大卒の入社間もない女性が、パワハラと過労を苦に自殺したのはまだ記憶に新しい、それをもう忘れたとしか思えない。

人材教育という名の、自己啓発セミナー

 このパナソニックの子会社は、何か自己啓発セミナーにでも影響されてるのか。

「毎晩終電までほぼ全員が話し込む文化がある」など、いったい最新の社会動向をどう考えているのか、あまりに旧態依然すぎる。

自己啓発セミナー
集団心理療法などで開発されたテクニックを使い、自己を知り自己の可能性を実現する、コミュニケーション能力を養うなどと謳われる民間のグループ・セラピーの一種である。

 自己啓発セミナーでは、まず個人の考え方などを否定し、そして破壊する。それからセミナー代表者や講師などの考え方こそ正しいと教え込んでいく。

 こんなことを強要する会社などには、ほんとうは入るべからずである。いまさらであるが…。

 入社内定者の窓口は人事であるから内定者にとっては、人事担当者=会社と同義である。したがって、ほんとうなら人事部こそイノベーションが必要である。

 想像するにこの人事担当者(会社)は、内定者にイノベーションを求めていない。ただたんに会社に忠誠をつくす人材を選ぼうとしてるだけだろう。

 そのために、以下のような典型的な洗脳を試みようとしたのだ。

洗脳
洗脳は、強制力を用いて、ある人の思想や主義を、根本的に変えさせること。
マインドコントロール
自分の精神状態を制御すること。また、他人の精神状態を、暗示をかけるなどして支配すること。

 会社にとって洗脳された社員ほど都合のいい人間はいない。どんなに無茶なことを指示しても、それを教義として捉えてくれるからだ。

 しかし、いま企業に必要なのはイノベーションを起こせる人材ではないだろうか。日本企業が世界の潮流から遅れをとって、停滞気味となって久しいのは、いつまでも金太郎飴の人材ばかりを選んでいるからではないか。

 イノベーションを起こす人材は、会社に忠誠を尽くす都合のいい人材ばかりではない。端的にいえば、いまこそ異端の人材が日本企業には必要と思われます。

 なぜなら、旧態依然の体制で日本企業は一向に浮上しないではありませんか。

イノベーションとは
新たなものを創造し、変革で経済や社会に価値を生み出し、革新をもたらすこと。

プレステ生みの親は、超異端の人材

 ちなみに、ソニーのプレイステーションの生みの親である久多良木健氏は、あまりに異端すぎて、ソニー本社から外に出ざるを得なかった。しかし、その結果、プレイステーションというソニーの大きな資産を誕生させることができた。

 あのソニーでも、プレステ誕生の裏では魑魅魍魎がうごめいたそうだ。

 当時ソニーの社長だった大賀氏は、久多良木氏を本社においても敵を作るばかりで、なんの進展もないと判断し、子会社のソニーミュージックに移籍させた。

 ソニーでさえそんな具合だから、極端にいえば、日本企業はバブル崩壊後、なーんも変わっていない。口では先進的なことを言う経営者も実際はリストラばかりだから、いまだ時代を読めない人事担当者などが蔓延っている。

 かつて、日本の半導体は世界の約50%以上のシェアを誇っていた。しかし、2020年現在では、わずか約7%でしかない。

 日本に代わって台頭したのは、韓国(サムソンほか)である。日本の企業は、技術者をあまり優遇しなかった。定年退職やリストラされた日本の技術者は、高待遇(ただし期限付き)で韓国企業に引き抜かれていった。

 元日本企業の技術者は、これまで培った知見や技術を韓国企業にすべて与えた。その結果、韓国企業はあっという間に日本企業を抜き去ってしまった。(韓国政府と企業の努力もあったが、元日本企業の技術者の貢献度は高かったはずだ)

 まさに「油断大敵」を絵に描いた様相となってしまった。

マネシタ電気のDNA

 パナソニックが、かつてナショナル(松下電気)だった頃、その経営方針は反イノベーションだった。革新的な商品はソニーなどに作らせて、あとからそれを真似て安く、大量に供給すればいいとしていた。

 これが有名な「マネシタ電気」の由来である。ところが中国が、製造市場で台頭してくると、さすがに松下電気でも対応できなくなった。

 安く、大量という松下電気のお株は、完全に中国に奪われた。中国の企業は、いわば松下に習って、それを巨大化したのだ。

 そのような商品、製造市場では、もはや日本企業に競争力はない。唯一残されたのは、革新的な商品開発と唯一無二のサービスではないか。

 しかしながら、パナソニック子会社の人事部の対応を考えると、あいかわらず旧態依然のままのようだ。こんな様子では、パナソニックに革新的な商品開発は望むべくもない、そんなダメージを与えたように思います。

日本企業はなにも変わってない

 このように、日本企業は相変わらず変わっていない。上記したパワハラ人事担当者のような輩がのさばってるようでは、もう先がないかもしれない。

 日本すごい!という愛国心を擽るテレビ番組が多く放映されているが、いまの日本企業の実態を顧みれば、ちっともすごくないことばかりだ。

 とにかく、日本の企業だけでなく、政治や社会のすべてのシステムが疲弊し、時代遅れとなっている、そのように考えざるをえない。

 いやはやである、というほかに言葉がない有様である。

画像引用:https://lanikainahele.com/?p=9225

パナソニック産機システムズ株式会社

追記:
 パナソニック本社には、なんの罪もないかもしれませんが、子会社のしでかした罪は重いはずです。日本の有力企業であるパナソニック本社には、ぜひ関連会社の方針をもういちど再構築していただきたいと考えます。

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