IT企業の詐欺的手口がまた暴露された
2016年11月29日、DeNAは運営する健康情報サイト「WELQ(ウェルク)」の全記事を不祥事により非公開(実質閉鎖)にすると発表した。その後、同社が運営する多くのメディアサイトもおなじ理由で非公開を余儀なくされた。
DeNAがまたやらかしてくれました。以前にも携帯ゲームの課金問題で世を騒がせたが、今度はパクッた上に不確かな記事を垂れ流していたそうだ。
DeNAが運営する健康情報サイト「WELQ(ウェルク)」では、医学的に根拠のない似非情報が蔓延し、それが常態化していた。それを問題視した専門家からは誤った情報が多いと指摘が相次いでいたとか。
DeNAが健康サイト閉鎖 医学的誤りとの指摘相次ぐ
ディー・エヌ・エー(DeNA)は29日、運営する健康情報サイト「WELQ(ウェルク)」を一時閉鎖すると発表した。掲載した記事の医療情報に医学的に根拠のない誤った内容が多く含まれているとの指摘が相次いだためで、再開時期は未定。同社は近く、守安功社長をトップとする管理委員会を設置し、事態を検証する。
<閉鎖されたDeNAの運営サイト>
・WELQ(ウェルク):医療・健康
・iemo(イエモ):インテリア
・FindTravel(ファインドトラベル):旅行関連
・cuta(キュータ):出産・子育て
・UpIn(アップイン):マネー
・CAFY(カフィ):料理
・JOOY(ジョーイ):メンズファッション等
・GOIN(ゴーイン):自動車
・PUUL(プウル):マンガ・アニメ
・MERY(メリー):女性向けファッション等(12/7閉鎖)
iemo(イエモ)とMERY(メリー)は、2014年10月に約50億円でDeNAに買収されている。iemo(イエモ)の代表がDeNAの執行役員となり、キュレーション事業の統括責任者に就任している。DeNAでは、キュレーションサイトで集客したユーザーのデータベースを核に、広告ビジネスやeコマースに広げていく計画だったといわれている。
大手IT企業DeNAのDNAは、モラルハザードか
この問題を端的にいえば、情報の質がとんでもなく悪く、しかも他サイトから丸パクリした記事を「キュレーションサイト」というお化粧を施して顧客を騙していたことにある。IT企業(すべてではないが)特有の、顧客を釣ってお金にさえすれば勝ち組となる体質が、問題の根本にあるのは言うまでもないだろう。
DeNAが運営するサイトでは、1日に数百にも及ぶ記事を更新していたとか。それはSEOという検索上位に掲載される対策として効果があったといわれる。問題はその中身だが、多くの記事が他サイトからパクったしろものだった。
記事を書いていた(パクった)のは、DeNAに雇われた外部の素人集団であり、クラウドソーシングで集められていた。一応はライターと呼称されても、実態はおして知るべしであるのは言うまでもない。なにしろ一字あたり一円か、それ以下といわれている、したがってクソ情報となるのは仕方がないところだ。
さらにひどいのは、パクった記事を若干リライトして著作権から逃れようとしていたことだ。しかも、自動でリライトするソフトを使っていたらしい。しかし、たいして機能的には優れていなかったようだ。以下の参考例を参照ください。
無料の情報は全てゴミ
<元ネタ>
DeNAのインチキサイト事件なんだが、その裏にあるモノをやまもといちろうが書いているんだが、ゴミ記事を量産するツールとして、「リライトツール」というのがあるわけだ。元の文章をツールに流し込むと、自動的に書き直してくれるw たとえばこういう具合。
↓
<自動リライト後>
DeNAのインチキサイト事件ですが、その背後にある事情をやまもといちろうが書いているわけだが、屑記事を量産する道具として、「リライトツール」というのがあるのだ。元の文章をこのツールに流し込むと、自動的に書き直してくれるw たとえばこんな具合。
なんのことはない、たんに語尾が少し変わっただけで内容にちっとも変化はない。(よーく見比べないと違いがわからない)
注釈:モラルハザードとは…企業などが節度のない利益追求に走るような、責任感や倫理性の欠けた状態。倫理の欠如。
情報サイトは隠れ蓑、広告費稼ぎのアフィサイト
しかし、DeNAではこれを堂々と運営するサイトで行っていた。しかも、膨大な数のパクリ糞記事で埋め尽くしていたといわれる。これは現在の検索サイトの評価基準が、質よりも量を重視しているからに他ならない。中身がなくても量があれば一定の評価がされて広告の価値も高くなるらしい。
頭のいい(倫理観がないともいう)IT経営者が考えそうなことに違いない。とにかくお金にすることが最優先であり、そこから逆算して仕組みを考えている。百才あっても一誠がないのが、IT経営者といえるかもしれない。違うか。
キュレーションサイトというトレンドにある情報サイトを表向きにして、裏に回れば単なる広告費稼ぎのアフィリエイトサイトと同義であったのは間違いないだろう。
思えば、90年代後半以降に現れたIT企業はどこも怪しかった。その代表格がライブドアであり、ホリエモンというバケモンを生んだ。そして、ホリエモンの逮捕以後、ちっとはまともになるかと思われたが、そうは問屋が卸さなかった。
IT企業と詐欺的行為は、表と裏の関係で深く結びついていた。顧客満足というマーケティングのイロハより、金儲けがなにより優先していた。そしてIT経営者は投資家と一蓮托生でそれを強く推し進めていた。
なお、すべてのIT経営者がそうであるとは思わないが…。
そういえばDeNAの創業者は、コンサル大手のマッキンゼー出身だったはずだ。高学歴であり、しかもコンサル大手の経験を経ても詐欺的手口しかできないとは、なんとも情けないと言うしかないがいかに。(携帯ゲームの課金問題という前科あり)
DeNAという会社名も、元ネタはNeXT(スティーブ・ジョブズが創業)にあるのは言うまでもない。この会社の体質が知れるというもんだろう、と勢い余って言い切ったが、実は何を隠そう当サイト名も実はパクリであった、他人のことをとやかく言える筋合いではなかった。
なお当サイトの記事では、引用はしてもパクリはしていません。すべて当方(運営者)がしこしことPCで書いています。
怪しさいっぱいのキュレーションサイト
ところでDeNAが運営しているサイトは、どれもキュレーションサイトといわれるものだそうだ。このキュレーションというのは、IT用語となっている。
実はこのキュレーションには元ネタがあった。アート業界のキュレーターを語源としたものだ。アートの分野でキュレーターというと、展覧会の企画や作家の選定、そして実施のディレクションなどを行う専門家を指している。
当然アートの歴史や文脈の知識も豊富な人たちである。有能なキュレーターとなれば、アートの新しい流れを創る一端を担うといわれる。
一方、IT業界のキュレーションでは、少し様相が違っている。各種情報を収集、選定し、それを再整理して新しい価値を生み出すという点は同じであるが、一番の違いはパクリをいわば容認しているところだ。そして、それを素人にやらせている。
キュレーションサイトでは、バイラル(感染的)という手法が多く使われている。それは主にSNSなどの情報拡散力を利用して、短期間で多くのトラフィックを集めることにある。そのために最も効率のいい方法が、パクリであった。
低コストで高収益を上げるのが、キュレーションサイトに課せられた命題となっていたといえる。したがって、IT業界のキュレーションおよびキュレーターとは、詐欺的行為も辞さない人たちと言っても過言ではない。
キュレーションサイトやおなじ土壌にあるバイラル・メディアサイトでは、以前よりパクリが指摘されていた。しかし、それほど大事には至っていない。DeNAの医療・健康情報サイトが、いかにデタラメが過ぎたかを物語っている。
なお、DeNAの事案が発生して以降、サイバーエージェントの「Spotlight」やリクルートホールディングスの「ギャザリー」でも同様の問題で多くの記事を削除しているようです。
<キュレーションとは>
IT用語としては、インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有することを言う。キュレーションを行う人はキュレーターと呼ばれる。
<キュレーションサイトの特徴>
1.高単価なアフィリエイト案件
2.購買ニーズの高いワードを抑える
3.即時性の情報を追い求めるサイト運営
4.自身がインフルエンサーになる
5.小規模サイトの量産
引用:キュレーションサイトがパクリ以外にも感情的に許せない理由と対策より
<バイラルメディア(Viralmedia)とは>
バイラル(Viral)とは「ウイルス性の」「感染的な」という意味で、「バイラルメディア」とはFacebookやTwitterなどのSNSの情報拡散力を利用して、インパクト・話題性のある動画や画像を中心とした記事に、短期間で爆発的なトラフィックを集めることを目的としたブログメディアを指す。
IT業界のキュレーションは、考え方はハウスミュージックなどのサンプリング、カットアップ、リミックスに近いものがあるかもしれない。しかし、音楽の世界では新しい価値を生み出しているが、ITのキュレーションではたんなるパクリで終わっている。そこが最大の違いとなっているか。
アートの世界では、引用や参照を元ネタにした「シュミレーショニズム」というジャンルが認知されている。それはITのキュレーションのパクリとどこが違うのかといえば、端的にはパクリを超えた作家性であり、新しい価値を生み出して、さらにはアートの文脈に則っているところだと思われる。
一方、ITのキュレーションでは、パクリがパクリのままであり、なんの新しい価値も生み出していない。あえていえば、低コストで高収益を上げるというインチキをベースにしたビジネスモデルなのかもしれない。それを価値と思うのは、怪しい経営者のみであるのは言うまでもないだろう。
追記:
当サイトは、DeNAのサイトのようなパクリはしていないが、キュレーションサイトの一種であると言うことができる。溢れる情報の中から気になる情報を選択し、それをテーマとして記事を書き起こしているからだ。
しかし繰り返しますが、引用はしても、コピー&ペーストという安易なパクリは一切していません。それを行うことは、個人的な意識・価値観として相容れないものがあるからです。また、当サイトの目的にも合致していない。
当サイトの目的は、いうなれば情報をサンプリング(収集)し、カットアップ(選択)し、リミックス(再構成)して、モノやコトの見方を少し変えて提示してみせること、それを個人の意識・価値観をベースに行っています。
たかが個人運営の情報サイトではありますが、個人というフィルターが大手サイトとの差異を生み出すと思っています。なぜなら、大手サイトは収益性の高さが必要であり、そこから逃れるコトができません。
一方、個人運営では収益性の高さは必ずしも必要ではなく、その反面で自由度が高いのは言うまでもありません。したがって、大手サイトではできないことが個人サイトでは可能であり、その逆はあまりないはずと考えます。
DeNAが堕ちた罠は、IT大手としての行き過ぎた収益性確保が要因と思われますがいかに。IT大手には、これからはパクリという効率性ではなく、オリジナリティーの高さを追求してほしいと切に願います。
キュレーション 「現代アート」をつくったキュレーターたち
世界的なキュレーター、H. U. オブリストが迫る、
現代アートのシステムがつくられるまでの歴史。
コメント