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■映画|八月はエロスの匂い 1972年日活

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うだるような真夏の暑さと不条理なエロスの世界


不条理なエロスの世界が、八月のうだるような暑さを背景に描かれる!
藤田敏八監督の初期傑作作品!

映画「八月はエロスの匂い」は、ポルノだったのか

観た記憶は鮮明に記憶に残っているが、実はそれも確かではない?

この衝動こそが生の証…。
八月の浜辺に、探していた少年がいた。
男と女の狂おしい夏の夜が始まる…。
(「八月はエロスの匂い」ポスターより)

日本最古の映画会社といわれた日活は、高度経済成長期には青春スターを多く擁して映画界をリードしていた。しかし、1971年頃にはかつての栄光はいま何処となり、存亡の危機が迫っていた。そんな背景のなかで日活は、映画製作の主体をロマンポルノ路線に切り替えていくことにした。

1971年8月、「八月の濡れた砂」(藤田敏八監督作品)を最後に日活は一般映画の製作を終焉し、1971年11月、日活ロマンポルノをスタートさせる。

「八月はエロスの匂い」は、藤田敏八監督が日活ロマンポルノで制作した「エロスの誘惑」「エロスは甘き香り」と共に、藤田監督のエロス三部作と呼ばれる。

当方はこの作品をいつ頃、どこで観たのかを覚えていない。またストーリーも忘れていた。(ストーリーは某サイトから引用しました。下記をご覧下さい)しかし何故か映画の題名は記憶に残されていた。個人的には、八月を舞台にした日本の青春映画といえば、「八月の濡れた砂」とこの作品であった。

しかし、これがロマンポルノであったのはすっかり忘れていた。いや、エロスとあるから、なんとなく性的衝動を扱った映画であるのは理解していたか。

日活は1971年11月からロマンポルノ路線に移行していた。その初期作品のひとつがこの作品であった。ちなみに、この作品を70年代後半に名画座で観たように記憶しているが、それも確かではない。たぶん、神田か、早稲田か、三軒茶屋辺りの名画座ではないかと思われるが、それも違うかもしれない。

とにかく、「八月はエロスの匂い」は、強烈な印象として記憶のどこかに残っていた。実はそれには訳がある。映画の主要な舞台となった場所が、当方の出身地とその周辺地域であった。八月のうだるような暑さにある南房総が舞台となっていた。しかし、南房総のどこなのかが分からない。

ストーリーで覚えていたのは、女性の主人公が横浜からフェリーに乗って房総半島の木更津に渡る。そこから何処か分からないが、南房総の海辺近くのバンガローのような宿泊施設に泊まることになる。そしてそこで物語が展開したはずである。しかし、その肝心な内容はまるで思い出せない。

主人公が海を渡っていくという行為に何かしらの意味があると思われる。たぶん、過去の自分と決別して新たな領域に踏み込もうという決意を表していた、そう思うのは穿ち過ぎだろうか。

とにかく真夏の暑い雰囲気と同時に、何とも云えない衝動的な感覚が映像に溢れていたように記憶している。「この衝動こそが生の証…。」とポスターにあるように、狂おしいまでの行き場のない熱い想いが伝わってきた様に思うが、これまたあまり確かではありません…。

藤田敏八監督が、単なるポルノで終わる訳はない。その時代の雰囲気をよく表現していたはずである。それから、ロマンポルノと呼称されてはいるが、普通の青春映画といってもなんら問題ない作品であったと思うが、それも確かではない。

「ロマンポルノでは裸さえ出てくればどんなストーリーや演出でも何も言われず自由に制作できた」と云われている。監督にとっては費用面を別にすれば夢のような環境だったと思われる。したがって、監督の映画への熱い想いが込められた作品が多かったようである。

しかし、何十年も観たことがないのでそれも確かではない。はたして現在、DVDレンタルはしてるだろうか。いやそれどころか販売もしていないか?。あとで、調べてみようと思うがきっとないだろう。なんだか気になって仕方がない。

ちなみに横浜と木更津を結ぶフェリーは東京湾フェリーといったはずである。いまでは、すでに廃止されている。現在は、川崎と木更津を結ぶのはアクアラインの時代となっている。

なんだか、確かではないことばかりを書きましたが、唯一確かなのは、いまでは海を渡るという情緒性を感じることが失われたことである。少なくとも当方の地元では…。

ついでにいえば、本当に魅力的な映画だったかさえ確かではない。すべては記憶のなかで妄想が膨らんでいるだけかもしれない。

「八月はエロスの匂い」 監督/藤田敏八

1972年公開 日活配給

<ストーリー>
主人公の彼女(川村真樹)は、デパートの宝石売り場の店員である。彼女には、恋人はいるが単調な日常生活に飽きている自分を感じている。

そんなとき、彼女の宝石売り場に強盗が現われて売上金を奪われてしまう。彼女は手に傷を負ってしまうが、血が流れるという日常的でない出来事によって刺激を受けたのであった。それは忘れられない体験として記憶のなかに残ったのである。

この刺激によって生を感じたくなった彼女は、恋人と一夜を過ごす。しかし、彼女は、何か違うと感じていた。男の自分勝手な振る舞いにいきどおりを感じざるえない自分を持て余していた。ある日、友人と行った遊園地で自分を傷つけた強盗の犯人を目撃する。

カフェでボーイをしていた犯人を捕まえようとふたたび遊園地に行くが、強盗は仕事を辞めていなかった。単調な生活にもどった彼女は、恋人との関係にも醒めた自分を感じていた。夏休みを取った彼女は、恋人と房総へ旅行に行くことにする。

車で横浜からフェリーに乗り、房総半島の木更津へと向かう途中、船上で若い男女のグループのなかにあの犯人がいることに気づく。房総半島に着いたあと、彼女は恋人に男女のグループのあとを付けるように指示する。

恋人は彼女の云うままにあとを付けて車を走らせる。男女のグループは、海辺近くのバンガローのような施設に泊まった。彼女達も、この施設に宿泊することに決めた。

彼女は、若い男女のグループを観察するうちに、例の犯人が仲間からのけ者にされ、リンチまがいのこともされているのを目撃する。夜、トイレからもどる途中、例の犯人が嗚咽を押し殺して泣いているのに出会った。

そんな犯人の青年を誘い、海辺近くの花畑でこの犯人の青年に身を任せた。この犯人の青年に、単調な生活の中でいきどおる自分を重ね合わせたのだ。彼女は、仲間からのけ者にされ居場所の無い犯人の青年に自分の置かれた現状と同じ境遇を感じていた。

彼女と犯人の青年が抱き合う現場を目撃した恋人は、ただそれを眺めるだけであった。しかし、その後、犯人の青年と殴り合いになる。夜が明けて、彼女は恋人の車を運転している。助手席には恋人が、後部座席には例の犯人が乗っている。彼女達の車を、若い男女のグループの車が追ってくる。

しかし、別れ道となった道路で彼女は右へ進路をとるが、男女のグループはちょうどやってきた対向車のせいで曲がれずに直進してしまう。

この行き先が別れたシーンで映画は終わる。

<キャスト>
川村真樹 片桐夕子 永井鷹男
浜口竜哉 清水国雄 むささび童子 白井権八

なお、この映画の主役である川村真樹さんが色っぽかったのは、記憶に鮮明に残っているが現在観たらどうであろうか。なおストーリーは、あるサイトから引用しました。おかげで個人的にはだいぶ記憶が呼び覚まされたようです。できれば、また観てみたいと思います。

ツタヤのサイトで検索したところ、渋谷店に在庫があるという結果がでました。興味のある方は是非ご覧ください。

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