建築界の最高級ブランド!
前回のライト先生に続いて、これまた20世紀建築界の巨匠であるル・コルビュジェを紹介したい。ご存知の方も多いと思うが、20世紀以降の近代建築に多大な影響を与えた神様的存在である。モダン建築の最高ブランドと云っても過言ではないだろう。
ま、ミースもいるけど、ここはコルビということで納得してもらいたい。学術論文を書いている訳ではないので、その辺よろしく了解願いたいと思う次第である。
コルビュジェ(以下、コルビ)であるが、彼は「住宅は住むための機械である」と語り、「近代建築の5原則」を発表した。これは当時の建築界に衝撃を与えることになった。誰も住宅を機械に例えるような人はいなかったのである。
このような時代を切り開くアイデアの閃きこそがコルビの神髄であり、建築界のブランドとして今日まで語り次がれる要因であると思う次第である。では、「近代建築の5原則」とは何か、と云うことで以下のように要約して紹介いたします。
近代建築の5原則
1. ピロティ
建物を柱で宙に浮かせて地面を解放する。
2. 水平横長の窓
伝統的建築は壁が荷重を支える構造であった。しかし、鉄筋コンクリ・鉄骨構造では柱だけが、荷重を支え壁は解放される。よって外壁一体に広がる窓が可能になる。
3. 自由プラン
上記に同様、壁が荷重から解放されたことで、より自由な間取りが可能になる。
4. 自由なファサード
伝統的建築では、ファサードをいかに壮厳に美しく見せるかに注力した。しかし、壁が構造から解放されたいまでは、正面をいかに美しくデザインしたところで看板絵に過ぎず、これからの建築家には真の立体造形能力が求められる。
5. 屋上庭園
柱に平らな床を乗せていく工法だと、屋上も平らになる。そこで屋上を庭園しようという発想である。
上記内容は、現在でも建築の基本構造であることがよく理解できたと思うが、いかがだろうか。
サヴォア邸
コルビと云えば、サヴォア邸と云う程に有名な建物である。コルビの提唱する近代建築の5原則をほぼすべて網羅した住宅である。1929年、保険会社の重役に依頼されて設計、1931年に竣工。大戦中はナチの宿泊施設として利用された。
また、50年代には廃墟同然となっていたようである。その後、修復され1992年から一般公開されるようになった。コルビの建築理念を具体化した建物として燦然と輝き、時代を超えて存在感を示している。
コルビの有機的?建築
モダンの代名詞のようなコルビであるが、1950年代には、ライトばりの有機的な建築群を多く設計した。インドのチャンディガールの都市計画、ロンシャン礼拝堂などである。それぞれ建築物というよりも、造形芸術作品といった方が的確なような気がする。
コルビは、多くの絵画も描いているが、それを立体化したような建物である。
チャンディガールのモニュメント「開かれた手」も、彼がよく描いた手をモチーフとした絵画を立体化したものである。
ロンシャン礼拝堂
チャンディガール/モニュメント
エピソード
コルビは愛妻家であったらしい。この辺りは、ライトとは大きく違う点である。実際のところ、どうであったのか。妻は、彼の建築を好きではなかったようである。特に、モダンの象徴のような白い壁と黒いソファーが….。妻は、病院のようだと云って花柄の生地でソファーを覆ってしまったそうである。(なお、出典は不明)
また、コルビは、日本ともゆかりがある。上野にある国立西洋美術館を設計している。ただし、基本設計のみで、実施設計は彼の日本人の弟子達がおこなっている。何でも、コルビの設計にはトイレがなかったそうである。
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