EUの優等生ドイツに変調の兆しあり
ドイツの立派過ぎる理念の行方は何処へ?
2015年夏頃に始まった中東からの難民流入に揺れる欧州各国のなかで、同年9月、ドイツは難民を積極的に受け入れると表明した。そして人道主義の寛容な国として世界にアピールしたのは、記憶に新しいことである。それに対し、各国の文化人やジャーナリストたちはこぞって喝采を上げていた。
当時のメディアの論調は、新しい時代の幕が上がったというものであった。しかし、それから僅か半年足らずでドイツは、難民に対し「中東が安定したら帰国するように」という声明を出すに至った。何故なら、当初から危惧された出来事が起きたことで、国民の反発を押さえることが出来なかったからである。
危惧された出来事の一端は、2015年12月末に中東移民(難民含む)の集団によるドイツ女性への暴行事件が多発したことで表面化した。これは当初から危惧されていた文化の違いから生じるモラル(倫理)が、維持できるかという問題であった。しかし、ドイツはできると信じて無制限に受け入れた。
ドイツ・メルケル首相曰くーー
「EUほどの大陸が100万人の難民を分け合えないなんてのは恥だ、信じられない」
「緊急事態において(難民に)優しくしたことを謝罪し始めなければならないとしたら、そんな国は私の国ではない」
「難民80万人を受け入れて半分を定住させる。国民は邪魔するな」
それから一転して、
「(シリアとイラクからの難民に対し)内戦終結後は帰国すべきだ」
そしてドイツの人道主義は、僅か半年経たずに頓挫した。欧州各国に難民受け入れを強制しようとしていたドイツは、いまでは四面楚歌の状態となりつつある。ドイツの理念は立派ではあるが、勇み足だったこともまた事実である。
ドイツが難民受け入れを積極的にアピールしたことで、欧州各国がむしろ混乱に陥ったことは間違いなかった。ドイツはEUのリーダーとしてごり押しすれば、各国がなびくと考えたかもしれないが、それが裏目に出た格好である。
ドイツは、EUのリーダーとして財政の健全性、環境基準、倫理や道徳の模範となるべく行動していたと思われる。自らは財政の無借金化、原発の廃止などを行っている。それ故に、他国に対してはきびしい判断基準を下す場合がある。ギリシャに対するドイツの姿勢はずーと融通性に欠けた頑なものであった。
そんなドイツに、最近では変調の兆しが顕著となってきている。難民問題は言うまでもなく、絶好調だったはずの経済にまで不都合な出来事が多発している。それは、何に起因するものなのか。ドイツの立派な理念は、果たしてそれを乗り越えられるだろうか。それが、いま問題となっている。
なお、ドイツの人道主義の裏側には、ある思惑が囁かれている。それは少子高齢化対策として、また安価な労働力を求める企業からの要望などである。とにかく、きれいごとだけではないのが、政治の裏側という訳である。
国家エゴよりも人道主義を優先したドイツという言い方をジャーナリストはするが、もしかしたらその反対かもしれない?。あくまで、憶測であるが。
ドイツの無借金、健全運営は嘘だった?
フォルクスワーゲンの環境基準不正はまだ記憶に新しい。なんでまた、信頼のドイツ企業の雄が、不正しなければならないのか。それが不思議だったが、どうやら無理をし過ぎた結果の不正だったことが判りかけている。それは東芝とおなじ構造であり、数値主義の罠に嵌まったとしか思えない。
それにしても、技術の安心と安全の信頼性では、世界で確固たる地位にあるドイツ企業である。それが不正をしたことで、ドイツの信頼性が揺らいだことは間違いない。昨今では、あのベンツにまで疑惑が向けられている始末である。
ドイツは、国家財政が無借金であると喧伝されている。これは先進国で唯一であるはずだ。それぐらいまれな国家財政であり、その運営手法にメルケル首相はじめ政府首脳の評価は高かった。とくにメルケル首相は、世界的にも卓越な政治家としてその名を轟かしていた。中国でも評判がいいらしい。
ところが、昨今ではどうも雲行きが怪しくなってきた。
日本政府は4つの巨大銀行を儲けさせる為、政府が借金を背負ったが、ドイツでは政府が健全財政に見せかける為、銀行に借金を背負わせた。
ドイツ銀行はメルケル首相の指示で、VW倒産を防ぐ為1兆円を融資した。このように長年ドイツ政府の借金を銀行に肩代わりさせてきた結果、破綻の危機に陥っている。
ドイツ銀行はドイツ政府の意向に従って乱脈融資する銀行として知られていて、経営悪化が囁かれていました。
ドイツの健全財政とはなんの事は無い、政府の借金を銀行に押し付けて、健全に見せかけていただけでした。
ドイツ銀行が破綻するかもしれないという情報が流れている。ドイツ銀行といえば、ドイツ最大の銀行であり大企業のパートナーでもある。また、ギリシャにも多額の融資をしている。おなじく中国にもである。
そんなドイツ銀行が破綻すれば、リーマンショックどころではない、とまことしやかに語られている。ドイツの経済好調を支えていたのではないかと、誰でも思うが、どうやら追いつめられたのには訳があるようだ。
ドイツは無借金を喧伝しているが、実は国家の借金をドイツ銀行に肩代わりさせていただけらしい。とすれば、ドイツ銀行の借金が雪だるま式に膨れ上がるのも無理からぬことである。ドイツの財政無借金も、基を辿れば単に数値を置き換えただけであり、実は企業の不正となんら変わらぬことをしていたといえる。
ドイツ政府は、フォルクスワーゲンに約1兆円の融資をドイツ銀行にさせているとか。日本では、企業の不始末は国家の財政で支援してきた。当然のように国家の借金は膨れ上がった。そんな日本と銀行に付け替えさせたドイツを比較するのは寓の骨頂ということである。マスメディアは、やたらとドイツを持ち上げてきたが…。
なんのことはない、興醒めすること甚だしい限りである。
立派な理念、人道主義、倫理と道徳の模範、環境重視という姿勢は、どこに出しても恥ずかしく無いものだ。しかし、それがフォルクスワーゲンとおなじく、不正の賜物だったとなれば、嘘も方便といわれても仕方が無いだろう。
世の中には、立派過ぎる主張を唱える人は数多くいる。そのタイプの人達はみんな揃って一見見栄えは良くて論理的にも筋が通っている。しかし、考えてみれば、詐欺師もはじめからうさん臭い訳ではない。詐欺師の常套手段は、表面的なイメージの良さと、数値に強いことである。違うか。
ドイツは難民を無制限に受け入れる姿勢を示し、その後一転して規制を設けるとした。そして、政府とドイツ銀行の一体化による借金の付け回しが疑惑として浮上している。たしかではないが、ドイツに端を発した経済ショックがいつ起きても不思議ではなさそうである。
それは中国が早いか、ドイツが先か、という問題であるかもしれない!。
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