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■時代と流行|ヒッピーとフラワームーブメント

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愛と平和とフリーセックス

ヒッピーの思想と哲学

 ヒッピーは、1960年代後半に、アメリカに登場したムーブメント。これまでの社会通念や伝統、保守的な価値観を否定し、自然への回帰および哲学やスプリチュアリティ(霊性、神秘性)の体験を重視した。

 このムーブメントは、一種のカウンターカルチャーとして、60年代後半の若者たちに大きな影響を与えた。当時のアメリカでは、ベトナム戦争が激しさを増していき、若者たちはある意味で死と隣り合わせだった。

 反戦活動や公民権運動(黒人の権利獲得)とも結びつき、時の政府筋からは疎まれる存在となっていた。一方、既成の各種差別の象徴として、性の解放を唱え、「愛と平和とフリーセックス」を標榜した。

 また当時の流行音楽であるロック、そして野外フェスティバルとの親和性が強くあり、お互いに影響を与え合った。

花は、ヒッピーと愛と平和のシンボル
 ヒッピーとは、自然への回帰を主張し,伝統制度など既成の価値観を否定する若者たち。1960年代後半にアメリカで生まれ,世界中に流行した。

 1960年-70年のヒッピーは、別名「フラワーチルドレン」と呼ばれた。その由来は、激しさを増すベトナム戦争に反対し、『武器ではなく、花を』をスローガンに、花を愛と平和のシンボル(象徴)としたことにある。

ヒッピーとサイケデリックとドラッグ

ヒッピーとLSD=幻覚剤

サイケデリックとは
 LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のぐるぐる渦巻くイメージなどの視覚・聴覚の感覚の形容表現である。

「サイケデリック」という一種の表現様式は、ヒッピー文化のひとつとして同時並行的に広がりを見せた。その視覚的イメージは、歪む渦巻きや幾何学的な視覚パターンに代表される。

 また音楽では、「サイケデリック・ロック」というジャンルが生まれている。その音楽性は、非日常的かつ実験的であり、また幻想的でもあった。

 ビートルズの革新的名盤『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』にも大きな影響を与えていた。

 サイケデリック・ロックの代表的なアーティストは、「グレイトフル・デッド」「ジェファーソン・エアプレイン」「クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス」などが有名である。

 現代アートの世界でも、「フルクサス(前衛芸術集団)」や「アンディ・ウォーホル」らによって、極彩色模様のスライド映写やライト・ショーなどが行われた。

愛と平和の祭典

ヒッピーと野外ロックコンサート

 ウッドストック・フェスティバル、1969年8月15日から3日間開催されたロックの伝説的な祭典であり、大規模な野外ロックコンサートの先駆けであった。

 60年代、アメリカではベトナム戦争が激しくなると同時に、一般社会からドロップアウトする若者が増加し、反戦思想のヒッピームーブメントが潮流となる。

 ヒッピーと野外ロックコンサートは、カウンターカルチャーの象徴となり、ともに時代の表舞台へと躍り出る大きな機会となった。

 ヒッピーになることは、戦争から逃れると同時に、既成社会と戦争反対の意思表示でもあった。ドロップアウトした若者は、ヒッピー文化圏を創造した。

 そこでは、愛と平和が共通言語であり、フリーセックスも自由の象徴とされた。

 しかし、自由を求めたその行動は、やがて大麻やLSDといった麻薬と結びつき、さらに社会との隔絶を深めていく。一般社会で嫌われ者となったヒッピーは、コミューンという場を設けて共同生活をするようになった。

 しかし、一般社会と隔絶したことで、やがて衰退していくのであった。

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60年代後半を彩り、そして消えたヒッピー

 アメリカの60年代後半は、ベトナム戦争と反戦活動を抜きに語れないだろう。そして、反戦活動の流れのなかで生まれたのがヒッピー達のフラワー・ムーブメントであった。そこでは、戦争の対極にある愛と平和がスローガンであった。

 これが、もっとも盛り上がりを見せたのが、北爆などが激しくなった60年代後半から70年代初頭の頃であった。世はまさに2極が対立する時代であった。資本主義と社会主義、管理側と非管理側が反目していたのである。

 日本でも、この頃ヒッピーに似た現象としてフーテンという存在が注目された。このフーテンは何をする訳でもなく、ただラリッていただけで文化らしいものを残さなかった。これが、アメリカのヒッピーと大きく異なる。

 ヒッピーも生産性はまったくなかったが、ファッション、音楽、美術などに影響を与えたのである。サイケデリックという幻覚をモチーフにしたようなアートや、それをデザインに用いたファッションなどは特に有名である。

 音楽でもビートルズのサージェント・ペッパーズなどにその影響がみてとれる。その他の多くの音楽家がその影響を受けて名作を生んでいる。

 ヒッピーの外見的特徴は、長髪とベルボトム・ジーンズであった。さらに独特の色彩と柄のシャツや土着的アクセサリーなどである。特に男性の長髪は、かれらを一般人と区別する最大のポイントであった。肩まである髪の長さこそが、自由の証であるかのような風潮であった。

 ビートルズも登場した時は、マシュルームカットであったが、だんだんと長くなり60年代後半では肩より長い髪の長さであった。ヒッピーやビートルズなどの音楽家の影響もあり、ドロップアウトすることが、ある意味でファッション化した時代でもあった。

 昨今では、保守化する若者とかいわれて久しいが、いつの日か、あの時代のような息吹が蘇るときがやって来るかも知れない。しかし、それが、いいのかどうかは知る由もない。

 なお、60年代後半から70年代を第一世代、そして90年代以降を第二世代としてまだ継続しているそうである。

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