上海のゴールデン・エイジ
1930年代、上海は妖しげな魅力を放っていた
上海は、長江デルタの河口域に位置し、北部から東部は江蘇省(現在名)、西南部は浙江省(現在名)と接する。東は東シナ海に面する。上海市街地は、長江の支流である黄浦江を遡ったところにある。
1920年〜30年代にかけての上海は、アジア最大の都市として繁栄していた。まさに黄金期にあった。文化の混在した独特の異国情緒を醸し出した都市の様式は、「上海租界(外国人居留地)」による影響が大きかった。
上海租界とは、「アヘン戦争」の代価としてイギリスが中国(当時の清王朝)から強制的に土地を獲得した1842年に誕生した。
それ以後、アメリカ、フランス、そして日本も租界を定めた。そこでは、各国がそれぞれの法律を施し、文化、習慣を享受していた。
いい悪いは別として、その雰囲気を想像するだけで魅力的である。もちろん強制的に土地を剥奪された側は、それに憤ったことは当然である。それは当時の政治状況の成せる技としか言いようがないが….。
ともかく現在でも残る、「外灘 (The Bund)」地区の歴史的建築群は、この時代の賜物であり、現在でも上海のシンボルである。(黄浦江を挟んだ反対側、浦東地区には新開発による現代建築が建ち並んでいる)
「ネオ・ルネッサンス様式」「ネオ・バロック様式」、1920年代から1930年代にかけて流行した「アール・デコ様式」などの建築群は、現在では中華人民共和国政府によって保存建築に指定されている。
文化混合の都市、上海
上海に限らずエキゾチックな佇まいとは、人を何かしら引き付ける要素を持っているようである。何故、異文化が混合すると独特の魅力を発するのか、そこには興味が尽きないものがある。
香水が調合によって香りが決まるように、文化も調合によって、時に絶妙な雰囲気を作り出すようだ。上海はその見本のような文化混合がされた都市であった。
「魔都上海(東洋のパリ)」と云われるように、1930年代当時の上海は、商業、貿易、金融等の拠点として栄え、次々と摩天楼が建設されていた。
また、人々を楽しませる最新の娯楽も豊富にあり、多くの外国人が訪れていた。1920年代のニューヨークのように上海でもジャズが流行していた。
一方、華やかな都市風景の裏側では、麻薬や売春を取り仕切る上海ギャング「青幇(ちんぱん)」が暗躍していた。
さらに、中国国内の政治情勢も不穏な空気に包まれていた。このような華やかさとその裏側が暗ければ、より一層不思議な魅力を発する、というのが文化というものに定められた宿命かも知れない。(一概にはいえないが)
里見甫は、元新聞記者であったが後に「満州報道通信社」の代表となる。やがて満州帝国高官の岸信介に頼まれて天津で阿片管理を始める。
そして、日本軍の財政を支える重要な役割を担うようになった。その規模は巨大で、上海に拠点を置きペルシャから阿片を購入していた頃、その取引利益は現在の日本円にして約30兆円を超えたとか。
ある意味では、児玉誉士夫や笹川良一よりも大物といえた。戦後は、その財産を多方面に提供したとされる。岸元首相もその一人といわれている。
よみがえる、レトロシティ
アン・リー監督の「ラストコーション」という映画では、時代背景は少し後になるが、不穏な空気と独特の魅力を発する上海を堪能させてくれる。
香港スターのトニー・レオンが、日本が後押した汪兆銘(おうちょうめい)政権の側にいる人物の役を演じている。また、抗日組織のスパイ役を文字通り体を張って演じた女優タン・ウェイが魅力的である。
今回、上海を取り上げたのは、「エキサイト・イズム」が、ANAとタイアップして作った中国特集のサイトがとても魅力的だったからである。
それは、中国特集「上海よみがえる、レトロシティ。」である。たぶん2004年頃のものだと思うが確かではない。しかし、いまでもウェブ上では観れます。
お勧めは、このなかにある「レトロ建築、復興。」という歴史的建物をスライドで見せるコーナーがあります。これが、とてもエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
下記に、URLを貼付けましたから、興味のある方はご覧ください。
<上海よみがえる、レトロシティ>
http://media.excite.co.jp/ism/extra/shanghai/
上海 「1192弄」オールド上海のレトロな街並み
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