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■時代と流行|ファッションとスタイルの違い 同時代性ファッションとその生き残り

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流行り廃りか、ながーく愛するか

ファッションとスタイルの関係性

 英国のデザイナーで日本でも人気の高いマーガレット・ハウエルは、自身の仕事に対して訊かれて「ファッションよりスタイルだ」と、語っていた。

 日本では、よくファッションスタイルという言い方がされているが、ファッションとスタイルは、いったいどう違うのだろうか。

ファッションとスタイルはどう違うのか
 一般的には、ファッションといえば、衣服の流行り廃りのことであり、スタイルといえば、その姿やかたちを意味していた。だからファッションとスタイルは同義のように思ったが、それはどうやら違ったようだ。

ファッション(FASHION)

1)流行(特に衣服の型についての)。はやり。

 ファッションを端的にいえば、流行り(一時的に広まる)の衣服ということができる。広義の意味では、装いに関連する装身具(アクセサリー類)、美容(ヘアー、メイク)、香水なども含まれる。

 したがって、ファッションとは、流行りの衣服とその周辺のことであり、流行り=一過性という現象であることも指している。

 一方、スタイルの意味するところは、実はファッション(一過性の流行り)とは大きく異なっている。

スタイル(STYLE)

1)姿。かっこう。
2)様式。型。文体。

 スタイルを端的にいえば、姿、かっこうのことであり、ファッションスタイルといえば、流行り(または特定)の姿、かっこうを意味している。

 しかし、スタイルに内在する意味では、「流行り廃りに関係のない特定の様式美」を指しているようだ。これこそが、実はスタイルの本来の意味であると思われる。

 とすれば、上記したマーガレット・ハウエルが「ファッションよりスタイルだ」と言った意味がよく理解できる。その意味するところは、「流行り廃りに関係なく、長く愛される美の様式を重要視している」ということだろう。

 それを考えると、ファッションスタイルという言い方は、なんだか変だ。相反する意味が混在している。日本流に簡略化された用語なのかもしれない。「流行り(または特定)の衣服の姿、かっこう」と、単純に理解するしかない。

 ともかく、言葉を変えれば、ファッション=刹那的であり、スタイル=永続的である、ということができるだろう。

 ちなみに、モードというファッション用語もある。日本でモードといえば、パリコレなどでデザイナーが発表する最新デザインの傾向を指している。なお、モードとはフランス語であり、英語のファッションと同義である。

モード(MODE)

1)流行(の形式)。

 日本ではよくモード系ファッションとかいわれるが、それは最先端のハイファッションのことを意味している。その多くは本物を真似た偽物であるが。

 一説では、「モード(最先端)」に端を発して、「ファッション(流行)」になり、そして流行が淘汰されて残ったものが「スタイル(定番)」になるそうだ。

 さらにもうひとつ付け加えると、トレンドがある。

トレンド(TREND)

1)流行。趨勢(すうせい)。

 トレンドは、時代の趨勢、潮流、流行のこと。ファッション、マーケティング、経済動向分析などの分野でよく使用される。統計学では、傾向変動を指す。ということだそうだが、なんともまぎらわしいねと、言うしかない。

同時代性ファッション:1940ー2010年代

1940年代

戦前(1945年以前)のファッション
 世界は第二次大戦の真っ只中に、女性のファッションも動きやすく、丈夫な素材でかっちりと男性のスーツのように仕上げられていた。


引用:http://renote.jp/uploads/image/file/13183/57638169b67f5fd3ef42eabfb9955e91.jpg

戦後(1945年以後)のファッション
 戦争が終わり、女性の衣服に女性らしいファッションが戻ってきた。スカートはひらり、ふわりとしたフレアースカートが登場し人気となりました。


引用:http://renote.jp/uploads/image/file/13189/c919dbc4c6121bfb3e52b912164e2985.jpg

1950年代

 ニュールックの時代。1947年にディオールが発表したニュールックというスタイルが、1950年代には世界中で大人気となりました。

 ニュールックとは、丸みある肩と胸、細く絞られたウエスト、裾の広がったスカートが女性の身体をスッキリ見せるファッションで、 1950年代の女性ファッションの基本となりました。


引用:http://renote.jp/uploads/image/file/16806/tumblr_n4acyvvtn41skuuoio1_1280.jpg

1960年代

 ミニスカートとロックの時代。1960年代は、若者文化が大きく花開いた時代でした。音楽では、ビートルズが登場しそれまでの規範を打ち破りました。

 ファッションもまた、それまでのコンサバなスタイルを放棄し、ミニスカートという女性を解放するかのような革新的なファッションが登場しました。

 ミニスカートは、ストリートから誕生し、その後ハイソな装いにも取り入れられました。そして、一過性の流行に終わることなく現在に至っています。


引用:http://renote.jp/uploads/image/file/21136/d0218585_18332044.jpg

1970年代

 ファッションの多様化した時代。1970年代は、一定の流行ではなく、それぞれが自分の好きな服を着るという多様な価値観が広がりました。

 そのなかでも、ベルボトムジーンズやホットパンツなどが流行しました。


引用:http://renote.jp/uploads/image/file/23976/bell-bottoms-old.jpg


引用:http://flashbak.com//wp-content/uploads/2016/11/hotpants-vintage-models.jpg

1980年代

 ファッションもバリエーションの時代。ファッションは多種多様化が進展し、流行も個々の価値観が決めるようになった。ボディコンや黒づくめの衣装が流行る一方で、コンサバで上質なファッションも注目された。

 また、ポストモダンの影響で構成主義さながらの衣装も登場している。日本では一大デザイナーブームが巻き起きてファッションが大きく注目された。


ティエリー・ミュグレー/肩の高さと広さを誇張したシルエットは、分厚い肩パッドで作り出されている
引用:http://www.kci.or.jp/archives/digital_archives/1980s/KCI_269


アライア/ボディ・コンシャスなドレス
引用:上におなじく

1990年代

 日本では91年のバブル崩壊以後、ファッションに派手さを求める傾向は無くなりました。より活動的でカジュアルなファッションが若者を中心に人気となり、ナイキやアディダスなどのスポーツカジュアルが注目されました。

 世界的には、ファッションがグローバル化され、また企業化されました。ブランドはグループ化し強化されていきました。また、低価格なファストファッションが注目されるようになってきました。


90年代ティストを取り入れたファッション
引用:http://www.elle.co.jp/fashion/pick/13awtrend-90s-hiphop13_0927/4

2000年代

 読者モデルがファッションリーダーとなった。00年代は、カリスマのファッションリーダーはいなくなり、普通人である読者モデルが注目された。

 ファッションには、もはや時代を牽引する力は失せてしまい、安価なファストファッションをコーディネートする時代となった。


ローライズジーンズ
引用:http://livedoor.blogimg.jp/gela_gela/imgs/8/7/8787a1e9.jpg

2010年代

 よく判りませんが、なんとなく70年代、80年代、90年代のファッショントレンドを総まとめしたように感じます、取り立てて大きな動きもなく、似たようなファッションばかりの世の中となっているようです。

 当方の情報不足は否めませんが、ともかく世の中に影響力を与えるようなファッションは見る影もありません。違うでしょうか。

 それでも、あえていえば「ミニマリズム」のティストではないかと思いますが。


ネオミニマリズム/2010、シンプル&クリアなベーシックスタイル
引用:https://ameblo.jp/moda-italia/theme-10020540676.html

2018年最新版 グッチのスタイリング

 グッチの最近の傾向は、60年代のフラワーチルドレンとかを彷彿させる装飾的でかつ退廃感が漂うような趣となっている。

 他のイメージ動画では、60年代の反戦活動等を思い起こさせるものもアップされていた。これは何を意味しているだろうか。

 もしかしたら時代が、ミニマル(シンプル)から、ふたたび情動(装飾過多)の時代に向かう予兆なのかもしれない。

週刊ニューズウィーク日本版 「特集:2050 日本の未来予想図」〈2017年8月15日・22日合併号〉 [雑誌]
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