お客様はけっして神様ではない
間違った常識を正せ
事実かどうか、それは定かではないが、あるTwitterユーザーによるとレジ打ちの仕事(たぶんバイトか)をしていたときに以下のような出来事があったそうだ。
この事案には、以前コンビニでスタッフに土下座を強要したDQNな客が、多数発生し大きな問題となったことが思い出される、その土壌が垣間みえるようだ。
レジ店員に対する「ありがとう」に高校生が「恥ずかしい」と批判…
ユーザーがレジ打ちの仕事に就いていた際、高校生の客が会計後に「ありがとうございます」とお礼の言葉をかけてきたという。しかし、その高校生に向かって、一緒にいた友人は「お前店員にお礼とか恥ずかしい事すんなや」と指摘していたそうだ。
ありがとうは恥ずかしい、それは大きな勘違いだ
「ありがとう」を恥ずかしいとした高校生は、いったいどこでそれを覚えたのだろうか。想像するに、親世代がしていたことを常識として刷り込まれたのだろう。それは、たぶん「お客様は神様だ」という考え方に起因しているはずだ。
その高校生の周囲ではそれが当たり前となっていたと考えられる。金を払えば客はなんでも許される、だって神様だから、という訳だ。
ところで、いったい全体いつからお客様は神様になったんだ。誰がそのようなことを言い始めたのか、それが案外知られていないようだ。
「お客様は神様」という言葉が登場したのは、意外に新しくて1961年だそうだ。その言葉を始めて使ったのは、演歌歌手の三波春男さんと言われている。しかしその後、三波さんの真意とは違う意味で世間に広まってしまった。
その代表的な言い分が、「金を払えば客は神様だ」という考え方である。そして、それはいつしか間違った常識として世間に浸透していった。
三波春夫、お客様は神様について
三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくないようです。印象強くご記憶頂いていることを有り難く存じます。ですが、このフレーズについては、三波本人の真意とは違う意味に捉えられたり使われたりしていることが多くございますので、ここにちょっとお伝えさせて頂きます。三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。
客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。
しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう風になるようです。
そして、店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。
お客様は神様ではない
三波さんは、無条件でお客様を神様としたのではない。あくまで、自身のファンに対し、最高のパフォーマンスを披露するという想いを簡潔に表現したものだ。
その真意は、「舞台に立つとき、敬虔な心で神に手を合わせたときと同様に、心を昇華しなければ真実の芸は出来ない」ということから生まれたといわれる。
当然、コンビニやスーパーの客に対するものでないのは言うまでもない。
日本では、金を払う客が上に立つという考え方が、浸透している。流通小売業では、それを曲解し過剰なまでのサービス競争となっているように思えてならない。さらにいえば、マーケティング用語の顧客満足も後押しをしている。
しかし、「お客様は神様」と「顧客満足」は、けっして同義ではない。
DQNな客に土下座することは、顧客満足に繋がらない。それどころか、顧客はそんなことをする小売業に疑念を抱くはずだ。
無理強いに応えるのは、けっして顧客満足の提供にあらずである。しかし、以前あった土下座強要事件では、ある大手コンビニのスーパーバイザーまでが、DQN客に土下座をすることを容認していたそうだ。
大手流通小売では、お客様は神様の問題に関しては、一切関わらず現場で対処せよ、という考えなのかもしれない。いやはや。
とにかく、金を払ったからといって踏ん反り返る客と、ありがとうと一言添える客とでは、どちらが美しいかといえば、それは言うまでもない。
大きな勘違いの客ほど踏ん反り返ってやまないが、それは実に見るに耐え難いものがある。そこに気がつくか、気がつかないかで人間性が見て取れる。
上記したありがとうを恥ずかしいとした高校生には、その大きな勘違いに早く気がついてほしいと切に願います。踏ん反り返る客になる前に…。
それはそうと、会計後に「ありがとうございます」とお礼の言葉をかけたもう一人の高校生は偉いな、環境がいいのかなと思うばかりだ。自分が高校生だった頃を振り返るとなおさらそう思うしかない。
お客様は神様ですの勘違いが日本を駄目にする
人は問題があれば問題を解決する。一方、問題がないと、問題を作りあげてしまう習性を持つ。日本には、激しい差別撤廃紛争が起こらなかったから、アメリカのような強い対等意識は社会通念化しなかった。「お客様は神様です」は、三波春夫さんの名言。だが、その真意は、「舞台に立つとき、敬虔な心で神に手を合わせたときと同様に、心を昇華しなければ真実の藝は出来ない」ということから生まれたことという。
そして、「人間尊重の心が薄れたこと、そうした背景があったからこそ、この言葉が流行ったのではないだろうか」とも語っておられる。
知らず知らずの間に育ってしまった、お金を払うものが高い地位にたつのが当たり前という考え。私は訴えたい。この考えを正そうと。さもなければ、アメリカの2.5倍も高い自殺率を下げることはできない。また、アメリカのホテルに見るような、笑いの溢れる楽しい職場環境をつくることも難しいだろう。
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