かつてはハプニングの女王、いまは現代美術の大家
ジャンルを超えたオリジナリティ、それが草間彌生である!
現代美術作家の草間彌生さんが、世界で影響力のある100人に選ばれた。
タイム誌が選ぶ「世界で影響力のある100人」日本からは草間彌生が選出
米誌「タイム(TIME)」が、2016年版「世界で最も影響力のある100人」を発表した。日本からは、アーティストの草間彌生が選出された。草間彌生は水玉のモチーフを使った前衛的なアート作品で知られ、ファッション業界にも多大な影響を与えてきた。ファッションデザイナーのマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)は、「長い間、アートの世界で実に急進的で革命的なことを成し遂げてきた」と紹介文を寄せている。
草間彌生さんは、いまでは現代美術作家としてゆるぎない評価を獲得している。しかし、当方がはじめて彼女の存在を知った頃は(70年代後半)、ハプニングという前衛的なパフォーマンスをやる人という認識でしかなかった。
それが、いつのまにか絵画やオブジェが高い評価を受ける作家となっていた。当方が知らなかっただけで、その類の作品は以前から制作していたようである。それが、徐々に認知されただけなのかもしれない。
日本人女性の現代美術作家で著名なのは、草間彌生と、そしてヨーコ・オノがいる。たしか、同時期(60年代)にこの二人はニューヨークを舞台に活躍していたはずだ。ともにストリートやその他の場所で裸になってハプニングをしていた。(70年代に発行された「アートナウ」という美術全集に掲載されていた、と記憶にある)
あまりたしかではないが、草間彌生さんは当時(60年代)のニューヨークでは、ハプニングの女王といわれていたそうである。
写真で見るかぎり何をしているか判らないが、たしかに裸(または近い格好)になって何かしている様子である。それが何を意味していたか不明であるが、当時は話題となっていたらしい。そして、アートの最先端の行為として評価されたようである。
現在では、すっかりおばあさんになった彼女からは想像もできないことである。一見すると目がギョロとした変わったおばあさんでしかないが、やはり只者ではなかった。とにかく、その個性は半端ではない。それは年を取っても変わっていない。
草間彌生の作品といえば、水玉をモチーフにしたものが有名である。なぜ、水玉か、それは彼女の精神性からきているようだ。なんでも強迫神経症とかいうものに関係していると、何かで読んだ記憶がある。
とにかく、取り憑かれたかのように水玉をモチーフにした作品を創り続けている。なかには、水玉が集まりすぎて気持ちが悪い作品もある。それは、まるでカエルの卵を連想させる形状となっている。
他には、大きなオブジェというか立体作品も多く作っている。立体作品は、なんとなくキュートな形態であるが、同時にどこか毒を含んでいる趣にある。それらの作品はとにかく、とても可愛いが、どこか不気味でもある。これは、彼女の作品全体に共通したものかもしれない。なお、感じ方には個人差があるのは言うまでもないが…。
草間彌生の作品のオリジナリティーは、アートのジャンルを超えたところにあると思われる。しかし、アウトサイダーとはならず、アートの文脈から外れることもなく、したがって高い評価を受けていると想像できます。あくまで個人的な見解ではありますが。
海外でとくに評価が高いのは、そのオリジナリティーがもたらす、唯一性が評価されたからではないでしょうか。とにかく、作品を一目見れば、そこには草間彌生の魂というか、唯一、あるいは独自の存在感を感じることができます。
<草間彌生の1960年代>
1965年にハプニングを発表し、1967年以降、ニューヨークを中心にオランダ、ローマ等で、非常に多くのハプニングやファッションショーを行った。活動が増えるにつれ、芸術的なだけではなくベトナム反戦運動、アメリカ大統領選挙といった時代背景を受け、社会的要素も含んでいった。
クサマ・ドレスやテキスタイルも手掛けるようになり、全米のデパートやブティックで販売され、1969年には自身のブティックを開店した。(公式サイトより)
ハプニング「ホースプレイ」 ニューヨーク、ウッドストック
1968年ファッションショー ニューヨーク、クサマスタジオ
1968年ハプニング「ラブ・イン・フェスティヴァル」
ニューヨーク、セントラルパーク
<水玉の意味とは>
「クサマ・ハプニング」のトレード・マークの水玉模様。赤や緑や黄の水玉模様は地球のマルでも太陽のマルでも月のマルでもいい。形式や意味づけはどうでもいいのである。人体に水玉模様をえがくことによって、その人は自己を消滅し、宇宙の自然にかえるのだ。自伝「無限の網」(作品社)より
草間彌生公式サイト
http://www.yayoi-kusama.jp/j/information/index.html
無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)
1950年代に単身渡米。ニューヨークでの無名時代の生き地獄、襲いくる心の病にも負けず、社会の既成概念に挑み、芸術への尽きせぬ情熱を開花させた、日本が誇る天才アーティスト。
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