どこかの金融さんが、クリエイターはただで使えとか
クリエイティブに価値を見いだせない人がいる
関連記事:これからもクリエイターやタレントはみんなタダで使い倒そう!
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52015742.html
いったいいつの時代だろうとデジャブ感に襲われた。それは、どこぞの金融さんらしい人が、クリエイターやタレントは頭の悪い人がなると書いていたからである。いやはや、短絡的にも程があるというもんだ。この金融さんは、作家でもあるらしい。きっと高学歴で頭のいい人なのだろう。たぶん。
外資系金融に在籍し、同時に執筆活動も行っている藤沢数希さんが、大阪市が募集したデザイナー職に関して意見を述べていた。この募集概要は、ネットで給料が安いとして話題となっていた。たしかに、求めている内容が多岐に渉る事から便利屋として使おうという魂胆が透けて見える。
ただし、若く経験のないデザイナーなら、アルバイトと割り切れば経験を積む事も可能ではないかと思われる。もっとも、勤務外の時間に他の仕事ができればの話であるが、ちなみに一般の公務員は他の仕事はできないはずである。
大阪市デザイナー募集、月11万円の求人 Twitterで炎上中
http://news.livedoor.com/article/detail/8930385/
<大阪市のデザイナー募集概要>
大阪市交通局非常勤嘱託
職務内容
・ポスター作製業務、WEBページ運営業務
・ワード・エクセルを使用した文書作成、電話応対等の一般事務
応募要件
・イラストレーターやフォトショップによる広告デザインの実務経験がある方
・エクセルでの表計算、ワードでの文書作成ができる方
勤務時間
・9時00分~16時00分
・週30時間
報酬等
・月額112,600円
・昇給・昇格なし
これがネットで話題となったことに端を発して前述した藤沢氏は、クリエイターなんてものはただで使えばいいじゃん、とばかりに書いたのであった。ネットで給料が安いという意見に対し、あまりにストレートな反対意見を述べた訳である。(藤沢氏の記事はリンク先を参照してください)
しかも何を思ったか。クリエイターやタレント何ぞは頭の悪い人がなるもんだと断定的に決めつけた。それは、自らの高学歴・外資系金融というポジションを意識したものと思われる。この人は、クリエイターなどは大学などに行けなかった人がなる職業という意識があるらしい。
しかし、そのベクトルは古いと言うしかない。いや、化石的か。何故なら、高学歴であっても頭の悪い人はいる。学校の勉強と社会での頭の使い方が違うのは、社会人ともなれば気が付くはずである。さらにいえば、日本でも遅ればせながらデザインの重要性が高まっている。それは、多くの企業の現場で実感できるはずである。
21世紀になってから、日本でもようやくデザインの価値に気が付いてきた。そのひとつの例が、アップルによる製品開発、マーケティングで成された功績の多くがデザインというクリエイティブに支えられていたことである。それを端から見た鋭い経営者は、これからのマーケティングはデザイン無くして成り立たない。そのように感じたはずである。
ちなみにマーケティングとは、市場創造または顧客創造を意味しています。
もちろん、ここでいうデザインとは、単なる広告やポスターを指すのではない。マーケティングとデザインが融合した総合的なものである。現代というか、だいぶ前からそのような時代になっているはずである。違うか。
現在の経営者はデザインが分からないのは致命的ともいえる。日本の過去の経営者のなかには、デザインなんて女子供のすること。男の仕事ではないなどと言う人もいたように思う。そんなプロダクトアウト(出来た製品を押し付けた)の時代の考えを以て偉そうにするとは、なんともはやである。
たしかに、大学に行けなかったからデザイナーになる人もいるだろう。しかし、それに何の問題があるかである。デザイナーは努力を怠ればすぐに淘汰される。優秀な人には多くの仕事が集まり、それ以外の人には魅力的でない仕事しかいかない。それいう市場原理は働いている世界である。学歴で仕事を獲得できるものではない。それがクリエイターの世界である。
一方、大学を出てさえいれば良いかといえば、そうでもない。横一線で並んだに過ぎない。いかに高学歴でも誰もが会社で経営幹部になれないのは当たり前である。
そのようなことを考えると、クリエイターなどはただで使い倒せなどいう人は金融屋はできても、けっして実業の経営者はできないだろう。しかし、このような人は一昔前には至る所にいたように思う。デザインを経営の根幹と捉えられず、いかに安く使うかばかりを考える人達である。
デザイン=コストだから、削減するに限るという訳である。
何か基本的な考え方が違っているはず、そこに気付かない経営者は、あげくの果てに顧客の好意・好感を失うとともに市場から退場を余儀なくされるのである。これは、「安物買いの銭失い」という格言とも関係ありそうである。違うか。
それはさておき、ここまで書いて思うのは、たぶん藤沢さんという人は単に美やデザインが分からないだけではないか。だから、デザインがうっとうしいに違いない。美術やデザインに興味・関心のない人がいかにも言いそうなことである。お仕事が金融関係でほんとによかったではないか。そのように思います。あしからず。
追記、それにしても大阪市のデザイナー募集要項を見るとグラフィックとウェブの両方をこなす人材となってるが、そんな器用な人材が11万ぐらいで応募してくるか。昨今ではデザイナーも専門化されていて、グラフィックデザイナーでウェブもできる人はそうはいないと思うが、如何に。
<おまけ>
偽デザイナーが送るデザインに関するメッセージ
冒頭に掲載したデザインは、アーティスト「Amy West 」が立ち上げたデザイナーを揶揄するかのようなプロジェクトの作品。
なんでも、現代のデザイナーは本質を追求せず、見た目やスタイルがすべてだと考えることに対するアンチテーゼの作品らしい。彼の作品の主張は、以下のようなことにあるそうだ。とても嫌みでデザイナーは耳が痛いかも。
<現代デザインへのアンチテーゼ>
・スタイルがデザインで最も重要。見た目が良いものに人は反応する。
・インターネットで調べれば、今のトレンドが分かる。それを真似れば良い。
・デザインは見た目を良くすることであり、それ以上のものではない。
・見た目を良くすることがデザイナーのフォーカス。
・コンピュータを使えば何でもできる。
このようなスタイルばかりを追うデザイナーに疑問を提示しています。デザイナーのみなさんは、どう思いますか。
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