その空間は、まるでデジャブのように時空を超える
上海ローズ ラウンジ
時の流れが匂い立つかの如く、記憶を呼び覚ます
中国の上海・外灘(バンド)に、蜷川実花がプロデュースを担当したカフェ&バー、クラブがある。それは2013年にオープンしたそうである。この企画が進行していた当時、彼女は「ヘルタースケルター」を準備・撮影をしていた。その影響かどうかは知らないが、その空間は、まるでリリコの部屋の延長上にあるかのような要素で満たされている。
赤を基調としたその空間は、どこまでも深く人を包み込むようである。また、どこか懐かしくもある、と同時に他にはどこにも存在していない。そんな独自性を漂わせている。それは何かといえば、情熱の去ったあとの気怠い雰囲気のようなものが濃厚に漂い、またそれは人を惑わす匂いに満ちているかのようである。
1930年代の上海では、各国のスパイや裏社会の人物たちが跳梁跋扈し暗躍していた。その当時の上海は、魔都と言われていた。そこでは、何が起きてもおかしくない、まさに不穏な空気に満ちていたのである。そんな時代にあってもなんら不思議ではない、という雰囲気を発しているのが「上海ローズ」という社交場である。なお、あくまで個人的な感想である。
それは意図した訳ではないようだが、あまりにも漂う空気感が濃過ぎるのである。何故なら、上海という土地が有する歴史性と、蜷川実花の子宮から生まれでたような創造性が融合することで稀に見る雰囲気を創りだしているからである。
とにかく、上海に行ったら是非訪れてみたい場所である。それは間違いないはずである。個人的には、強くそう思う次第である。
この上海という場所から、「ラスト、コーション」という映画を思い浮かべた。中国の方は思い出したくもないかも知れないが、1930年代の上海では、日本の軍部が影響力を深めていた時代である。日本は南京政府を後押して、蒋介石の国民党や共産党に対抗しようとしていた。
そんな時代を背景としたのが「ラスト、コーション」であった。アン・リー監督、トニー・レオン主演の、不穏な空気と退廃的なムードが濃厚に漂う映画であった。
「上海ローズ」は、そんな不穏な空気と退廃的なムードがよく似合うカフェ&バー、クラブである。そのように思うのであるが、如何に。ちなみに、当該ユーザーは「上海ローズ」を実体験した訳ではないことをお断りしておく。あしからず。
オールド上海ジャズバンド〜上海ローズほか
■上海ローズ Shanghai Rose | Bar & Cafè on the Bund
営業時間:9:00〜翌朝3:00
住所:中国上海市黄浦区南蘇州路76号
電話:+86 21 6052 7171
以下のサイトは、背景に流れる音楽が格好いい!
http://shanghairose.com
<上海ナビより>
上海最古の鉄橋「外白渡橋」のたもとに位置するカフェバー。歴史建築の2階建て家屋をリノベーションし、インテリアを蜷川実花がプロデュースしたことで知られる。1階はラウンジやカフェとして使われており、2階はミラーボールやステージのあるクラブ。週末は深夜までにぎわっている。ベルベットや革張りのソファはどれもバラ色で揃えられ、華やかな雰囲気。窓からは陸家嘴の夜景も眺めることができる。
SHIFT:上海ローズの記事
http://www.shift.jp.org/ja/archives/2013/03/shanghai_rose.html
この建物は歴史的建造物として保存されている。
英国によって1905年に建てられた、その内部をリノベーション。
これは、一階入り口付近らしい。たぶん。
一階のカフェラウンジと思われる。
二階のステージのあるクラブ空間。金魚がプリントされた緞帳が見える。
写真:SHIFTより、Photos:Pingpong
<アマゾン内容紹介より>
オールド上海ジャズバンド-1920〜30年代の上海黄金時代を彷彿とさせるトラディショナルジャズ!戦前の日本のジャズの名曲の数々を中心に、独自のパフォーマンスを展開。2013年1月に超満員の西麻布「新世界」で行われた初ライブでは、観客は熱狂と興奮の渦となった。4月には、上海のレコード会社から、初のCD「The Old Shanghai Jazz Band〜Shanghai Rose」をリリース。6月には、上海・外灘(バンド)の1920年代の歴史的建造物を、蜷川実花が内装デザインして話題のクラブ「上海ローズ」で上海での初ライブを行った。東京〜上海という国の枠を越える活動の広がりを見せている。
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