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■社会|日本すごい!は本当か クールジャパンのやるせなさは見るに忍びない

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日本すごい!が、痛すぎるぞ

ちっともクールじゃない、国策クールジャパン

 昨今、「日本すごい」という切り口のテレビ番組が受けているようだ。主に海外からの旅行者が日本の伝統文化に触れて感銘するという内容である。一方、日本から海外に向けて日本文化を発信する「クールジャパン」というものがある。

 日本の文化として、漫画やアニメが海外で人気を高めていたことから、そこを切り口として、さらに日本文化を海外により広く発信、醸成していくことを目的に考えられたのが、「クールジャパン戦略」といわれている。

クールジャパン機構
第二次安倍内閣の肝煎りとして進められている「クールジャパン戦略」。2013年から本格化したこの国策は、実質的な国策ファンドであるCJ機構(株式会社海外需要開拓支援機構)を中心にして、積極的な国税の投入が行われている。

 クールジャパンを端的に言えば、「イケテル」「カッコイイ」、いまの「ニッポン」という意味である。がしかし、その実態はどうやら言葉どおりの「クール」ではなく、理念やコンセプトとの大きなずれが目立っているようだ。

 日本で漫画やアニメ、そしてゲームなどのサブカルチャーが大きく注目されるようになったのは、80年代以降である。そのような新しい文化の中から「おたく」が自然発生し、やがて「オタク」となり定着し現在に至っている。

 そして「オタク」は、世界中に派生するようになった。と同時に、世界で日本の文化が「クール」といわれ出した。90年代、ゲーム機を発売していた「セガエンタープライゼス」は、ブランドのスローガン?を「クール」としていた。

 改めて言うが、世界で「クール」といわれたのは、あくまで「漫画」「アニメ」「ゲーム」というサブカルチャーのことであり、日本の伝統文化ではない。

 クールジャパンが、上記のような流れを基にしたのは言うまでもない。ところが、そこはやはり国策であり、お役人を中心としたいつも通りの「箱物事業」となりつつあるようだ。だから、クールではないのも必然といえる。

 ちなみに箱物事業とは、公共施設をつくり役人が天下りするシステムである。そこでは、理念なんぞはクソであり、予算を消化することがお仕事となる。

 最近、クールジャパン機構の幹部が、派遣社員の女性からセクハラで約2000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴されている。この事案は、見方を変えれば、「#Me too」の流れに乗ったクールな出来事といえる。(嫌味であるが)

 ただし、それが恥ずかしい出来事なのは間違いない。また真のクールでないのは言うまでもない。(当たり前であるが)

「#Me too」
セクシャルハラスメントや性的暴行の被害体験を告白・共有する際にソーシャル・ネットワーキング・サービスで使用される。 

 クールジャパンは、政府の肝いりで始まったそうだが、実際に事業を行う官僚たちは事務能力は高くても、当該事業の知識や情熱に欠けていたのではないか。

 下請けのコンサルやイベント会社、設計業者などもおなじく、たんなる公共事業のひとつ程度にしか考えていないのではないか。

 そうでなくては、なんの恥ずかしげもなく、「クールジャパン」などといえる訳がない。政府や官が絡むとどうしようもなくズレまくっていく。

 その証拠に、海外からクールといわれたアニメの現場の疲弊した状況は、ほったらかしたままである。現場には、まったく関心がないに違いない。

 そのあげく、関係省庁だけでなく、各方面からこれを入れろとか、あれを入れろとか横槍が入り、なんだか訳の判らない玉石混交とした様相となっていまに至っている、と想像するがいかにーー。

クールジャパン機構「幹部からセクハラ」元派遣社員提訴
日本のアニメや食などを海外に売り込む官民ファンド「クールジャパン機構」(東京)の幹部らからセクハラを受けたとして、元派遣社員の20代女性が計2000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

セクハラ被害を訴えて労働組合を結成した後、派遣更新を拒否されたことが、不当労働行為に当たるとも主張している。 

意味不明のクールジャパンの実態

 若手論客のひとりである古谷経衡氏が、マレーシアで見たクールジャパンの実態をレポートしている。以下に要約して紹介いたします。詳細はリンク先をご覧ください。

クールジャパン:マレーシア編より

なんじゃこれは、どこがクールだ!意味が判らんぞ

 クールジャパン機構は、東南アジアの拠点として、マレーシアの首都クアラルンプールの一等地にある百貨店のなかに「ISETAN The Japan Store」というものを開設し運営しているそうだ。

 民間(伊勢丹)との共同であるらしいが、クールジャパン機構は実質的な国税を9億7千万円投入している。(立ち上げのみか、運営費は不明)

 大型複合商業ビルの一部、地下1Fから地上4Fまでの実質5フロアーを有する、総売り場面積1万平方メートルを越える。

 この拠点は、立地は一等地でありながら、お客は皆無であり、しかもクールな日本文化はどこへやら、意味不明の品揃えの商品が店内に陳列されているそうだ。

 古谷氏いわく、「結論から言って、私はかつて、これほどまで無駄と傲慢と不採算に満ちた商業施設を見たことがない」

<具体例>
地下1階:食品フロアー

 日本の農産品の見本市のような趣であり、日本酒、日本米、日本産魚介類、日本産肉類、加工食品等が陳列されいる。

 しかし、お客はいなく、店員が暇をもてあましているとか。その理由は、とにかく価格設定が信じられない高額となっているからだ。

 山梨ぶどう1箱(2房)約20,000円、同じく山梨県産桃1箱(5個入)10,000円、いちご1パック2,000円だそうだ。他の商品もおして知るべしである。

地上1階:ファッション、服飾雑貨
 どこがクールか、まったく判らない単なる人気のないファッションフロアーだ。とくに何も言うことがない、なんの魅力も感じられない。

地上2階:日曜雑貨
 仏像とか、なぜかスターウォーズもあるそうだ。クールジャパンは、一体どこにいったのか、と思わざるをえない。

地上3階:カルチャーフロア
 アニメや漫画やゲームはなく、なぜかディズニーやレゴが鎮座する。繰り返すが、クールジャパンは、何処にーー。

 クールジャパンは、言うまでもなく、漫画やアニメの海外人気に基づいている。

 ところが書籍コーナーには、なぜか日本文化と関係ないオシャレな洋書が陳列されて、クールジャパンを象徴する漫画、アニメ(ジャパニメーション)の代表とされる大友克洋や押井守さえ置かれていないそうだ。

 カルチャーの意味はどこにあるか、ここでは日本文化という意味ではないのか、そんなあまりに当然すぎることが頭をよぎるが、とにかく意味が判らない。

 こんなものは日本にとって「百害あって一利なし」と思うがいかに。

 どうやら、クールジャパンには全体を統括するプロデューサーがいないのではないか、また責任の所在があいまいな様子が見て取れるが、どうだろうか。

詳細は以下をご覧ください。
参考:海外で見た酷すぎるクールジャパンの実態~マレーシア編~
写真引用:上におなじく

クールジャパン、戦略なき膨張 投資ありきの危うさ
国の成長戦略の一つ、日本文化の輸出を支援する官民ファンドのクールジャパン(CJ)機構が振るわない。

発足から丸4年の投資24件中、決定後1年を超す事業の過半が収益などの計画を達成できていないことが日本経済新聞の調べで分かった。

経営陣の強い意向から慎重論を退けて投資した結果、損失リスクを抱える事例が相次ぐ。「まず投資ありき」の姿勢がクールジャパンの戦略なき膨張を招いている。

クールでない日本のシステム

 クールなはずのアニメの現場は疲弊したまま、改善する気配はないようだ。政府は大企業に忖度して裁量労働制を推し進めているが、それによってアニメの現場の労働改善が、さらに遠のくのは言うまでもない。

 一方、企業ではブラック化がこれまで以上に進むと思われる。今更であるが、日本の企業はおしなべてクールではない。昨今では大企業でも不正がまかり通り、顧客よりも収益が優先される傾向が顕著となっている。

 その企業体質もたいして変わっていない。例えば、上意下達、縦社会、体育会気質、飲み会優先、セクハラ、パワハラ、根回しシステム、ハンコ文化、決断できない、決められない会社システム、議題のない会議、等々がいまだに続いている。

 企業幹部たちはイノベーションをやたらと口にするが、本当にその意味を理解しているか。ずいぶんと怪しいと言わざるをえない。

 口では革新というが、なんら変わらない体質が、古くは日産、最近ではシャープや東芝、三菱自動車などを崖っぷちに追い込んだといえる。

 シャープなどは台湾企業に買収されて復調傾向にあるが、それはいかに日本の経営者が無能であったか、日本のシステムが劣化していたかを物語っている。

 クールでないものを、クールとするのは、まるでオレオレ詐欺とおなじく、嘘でも言い続ければ、まかり通るという詐欺師的根性といえる。

 なんともはや、現在のクールジャパンの実態は虚しいばかりである。

冒頭画像:クールジャパン・ロゴ
引用:http://yurukuyaru.com/archives/73569885.html

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