顧客満足は、企業の生死を問うか否か!?
アップル創業の地、ジョブズの実家とガレージ
マーケティングは、いまや傷だらけである
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http://biz-journal.jp/2013/10/post_3022.html
巷では、マーケティングという言葉がやたらと使われる現在である。しかし、その意味するところは人によって違っているはずである。それでも、なんとなく判ったふりしてやり過ごすのが現代人である。マーケティングは、本来の意味することでなく、なんとなくそうであろうという曖昧な言葉となったようである。
昨今、よく使われているのが、ステルス・マーケティングである。これなどは、正確にはステルス・プロパガンダ、またはセールスではないかと思うが違うだろうか。なぜなら、この手法の目的は、正体を隠して利益を追求する手段として使われる。その手口は、悪どい詐欺的な行為である。マーケティングの定義である、「顧客満足の創造」とは正反対に位置するはずである。
これは、企業の責任が大きいと思うが、いったい学者は何をしていたのか。不思議である。日本にもマーケティングを専門とする大学教授が多数いるはずである。それらの人々は、如何に手抜きをしていたか。まこと遺憾である。
マーケティングは、どう捉えられているか
俗にいうところのマーケティングとは、何を意味しているか。それは、たぶん広告、または市場調査ではないかと思うが、違うだろうか。一般の人々は、そのようにマーケティングを捉えているはずである。それは、間違いではないが、正確でもない。なぜなら、マーケティングという概念は、その幅がとても広く、また、それを日本語に置き換えることが難しいのである。
マーケティングが業界で幅を利かせ始めたのは、70年代頃からか、個人的にはあまりその歴史には詳しくはない。では、70年以前は、何であったかというと、それはセールスという概念であった。その差はどこにあるか。実は、それがもっとも大事な要素である。マーケティングとセールスの違い、それこそがマーケティングを知る手がかりである。
セールスという概念は、出来上がった製品を「如何に売るか」ということから発想されたものである。たしか、そうである。間違いないはずである。それに対し、マーケティングの概念はというと、顧客を起点にして、「どのような製品を作るか」ということから発想されたものである。たぶん、そうである。言葉を変えて言えば、「製品が先か」と「顧客が先か」という違いである。
この違いは大きいはずである。まず、開発される製品が違うのである。マーケティング以前は、プロダクト優先であるから、製品至上主義がまかり通った。開発する製品に都合の良いデザインや機能が優先した。しかし、マーケティング優先となると顧客市場主義となって、顧客の満足を如何に達成するかが問われた。したがって、開発される商品は顧客の要望を汲んで改良された。
マーケティングの意味性を考える!
マーケティングとは、顧客満足の達成である。とか、誰かが言ってたと思うが違うか。実は、何の資料もなしにこれを書いている。記憶にあることを掘り起こしながらである。したがって、正確ではないかもしれないが、そう外れてもいないはずである。たしか、コトラーであったと思うが、「マーケティングとは、企業や公共の組織が、顧客満足に基づく顧客創造および維持を目的に行うあらゆる活動を意味している」というようなことを言っていたはずである。
顧客創造とは、市場創造または創出のことである。維持とは、固定した顧客にすることである。つまり、自社のファンにすることで安定した収益が上げられるようにするのである。
では、具体的にマーケティングとは何をするのか、それが問題である。現在の企業では、マーケティングという名前を実に便利に使っている。それが誤解を生む原因ではないかと思う次第である。例えば、ソニーマーケティングという会社がある。これは製品販売の会社である。かつてのセールス集団が、名前を変えただけである。たしかに、営業も販売もマーケティングといって差し支えないが、主体ではないのである。
そこで、マーケティングの範囲を列挙してみたい。顧客満足が起点であるから、それに近い順に上げてみることにする。ちなみに、かなり省略しています。あしからず。
<マーケティング概念の項目>
1. 市場(顧客)調査・分析
2. ターゲットセグメント
3. 商品(製品)開発・企画
4. 価格の設定
5. 流通チャネル
6. プロモーション(ブランディング含む)
7. 営業・販売
8. 製品管理
9. サービス管理
10. マーケティング管理
1から4の項目は、商品(製品)開発にそれぞれ関係している。6は、商品開発と営業・販売のそれぞれと密接に関係しなければならない。8と9は、顧客の満足度を満たす要素として重要である。10は、1から9までのトータルなマーケティング活動が、十分に機能したかをチェックし、それが至らなければ修正する役目である。(細かい部分で間違いがあるかもしれないが、大筋ではだいたい合致しているはずである?)
これらをトータルで行う事で顧客満足に近づけるようにするのが、マーケティングの本来の意味である。
このように捉えてみると、如何にマーケティングをいい加減に理解し使用している企業が多いか、ご理解頂けると思うのである。特に販売促進および営業しかしていない部署や会社に多く見受けられる。たぶん、セールスよりも見栄えがいいと思って付けているのだろうが、なにをかいわんやである。ちゃんちゃら可笑しいのである。マーケティングを冒涜しているとしか思えない。
ソニーマーケティングなんて、出来上がった製品を流通させているだけだ。すぐにでもソニーセールスに変えるべきである。と個人的には思う次第である。
マーケティングの達者な企業といえば、アップルやダイソンなどが例に挙げられると思うが、いかがだろうか。何故そう思うかといえば、上記したマーケティング範囲をきちんとやり遂げているからである。例えば、広告という顧客に購買を働きかける場合、そのスタンスやティスト、メッセージまでが、ほぼ商品企画段階でヒントが発掘されている。したがって、後はそれをうまく伝えるだけである。
広告の段階で何かをでっちあげる姑息なことをしなくても、商品そのものが、すでにそれを纏っているのである。残念ながら、そのような企業は日本には見当たらないのが現状である。なお、これは、あくまで個人の意見である。
最後に一言、ここまで顧客、顧客と書いてきたが、「お客様は神様」というのは間違いである。土下座などしても意味は無い、そう思う今日この頃である。
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