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■エンタメ|揺れるAV業界 その行方はいかに

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女優への如何わしい出演強要で瀬戸際に立たされる

 あるAV女優が、理不尽な契約と強要があったとしてAVプロダクションを訴えたことから、AV業界全体が揺れる様相となっていた。

 その後、訴えた女優にも何かと疑惑が報じられたが、それでもAV業界に対する疑念は膨らみ続けてやまない。この騒動が原因か知る由もないが、その後(7月)警察は野外で違法にAV撮影をしたとして数十人のAV関係者を逮捕している。

 日本のAVは世界に冠たる「変態」としてつとに有名であるが、その変態性を維持できるか、それは今後の業界の動向如何にかかっていると思われる。

女優やモデルとしてスカウトしてAVに出演させる

<強要はあるのかないのか>

 2016年6月、AVプロダクションの関係者3人が逮捕された。逮捕された理由は、ある女優にAV作品への出演を強要した労働者派遣法違反容疑である。

 プロダクションでは、目を付けた女性を女優やモデルとしてスカウトし、契約の際に「AV出演もあり」という文言を密かに忍ばせていたといわれている。まるで絵に描いたような詐欺行為であり、低俗な犯罪ドラマのようでもある。

 しかしこの事案では、女優側にも問題があり、業者側を擁護する声が多かった。訴えた女優はAVに300本以上も出演していて、とても強要されていたとは思えないという声がSNSなどを通じて多く寄せられていた。

 その後、この女優は彼氏にそそのかされて訴えたことが暴露されている。それによって、今回の事案は冤罪の可能性も出てきている。しかし、それでAV出演強要疑惑が晴れたかというと、そうとばかりは言えないようだ。

 AV作品には、女優を派遣するAV専門の芸能事務所が欠かせないといわれる。そこでは、全国にスカウト網が整備されていて、絶えず女優を集めては業界への供給に努めているそうである。

 噂では、業界で有名なAV専門の芸能事務所は、有名な半グレ集団が設立したものだといわれている。半グレといえば、オレオレ詐欺との関係で判るように詐欺的行為もなんら厭わない。AV出演強要なんて朝飯前であるに違いない。

 2015年には、ある女優がAV出演を拒否したところ、所属事務所から契約違反(契約書にAV出演ありと小さく明記されていた)として、2400万円の違約金を払えと訴えられていた。しかし、その判決では請求が棄却されている。

 契約を盾にして理不尽な要求をするのは、反社会団体の常套手段である。人権を考えれば、棄却されて当たり前といえるだろう。

 現在、業界内(一部の有名AV女優たち)からはプロダクション側を擁護する声が多いが、実際はどうなのか。この事案を別とすれば、やはり強要が常態化しているとしか思えないが…違うのか。

AV“出演強要”逮捕事件で蒼井そら、初美沙希ら有名AV女優が「冤罪」を主張! AV業界に強要はあるのか

AV出演を拒否したら所属事務所から2400万円の違約金請求が! 人身売買契約横行の裏にAV業界の芸能界化
 ヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)というNGOが2016年3月、今回の件と同様、「モデル」「グラビアアイドル」などの嘘の惹句で女性を集め、いったんプロダクションと契約させたら、あとはアダルトビデオへの出演を強要。もし出演を渋れば「仕事を断ったら違約金」、「親にばらす」などと脅しているケースが後を絶たないと問題提起をしている。

 しかし、その一方では、AV女優の成り手は引きも切らないともいわれている。なんだか、強要騒動とは相反するようであるが、その実態はいかに。

キャンプ場でAV撮影=公然わいせつ容疑52人送検-警視庁
 神奈川県内のキャンプ場でアダルトビデオ(AV)を撮影したとして、警視庁は8日までに、公然わいせつや同ほう助の疑いで、大手AV制作会社「CA」(東京都港区)社長の40代男と出演していた女優9人、男優24人ら計52人を書類送検した。同庁保安課によると、AV撮影に伴う公然わいせつ事件で50人以上の一斉摘発は異例。

芸能界の契約は、いまだに胡散臭さと同義であるらしい

 女優の能年玲奈さんが、所属事務所ともめて本名も名乗れなくなっている。これは、なんだか変であるとしか言いようがない。しかし、事務所は契約を盾にして理不尽ともいえる要求を押し通そうとしている。

 かつて、映画の都ハリウッドでは俳優や監督などに対し、「7年契約」という理不尽な契約制度があった。俳優には拒否権がなく、もし出演を拒否すれば契約期間がさらに延長される仕組みとなっていた。

 当時の映画会社は、この契約システムで大儲け(俳優を7年間安く使えた)していた。その後、この契約は無効化されて、いまでは俳優の権利が強くなっている。

 米国の芸能界では、理不尽な契約制度が是正されたが、日本ではいまだに違法まがいの契約が幅を利かせているらしい。

 それは日本の芸能界が、裏の社会といまだに手を切れない関係にあるからに他ならないだろう、と思われる。大手といわれる芸能プロのなかには、何かと裏社会との関係が噂される会社が跋扈している。

 テレビ局、芸能プロ、裏社会の関係式が一掃される日が、はたして日本の芸能界に訪れるか否か、日本の映画、テレビのコンテンツから魅力が失われて久しい。

 その要因の解決には、時代にそぐわない現状システムの本(もと)を正すことから始めるしかないと思われるが、どうであろうか…。

追記:
 最近、AVを観ていないし、レンタルビデオ屋にも行っていないので、その動向があまりよくわからない。いまでは海外から配信されるAVも多いし、またネットでは無料(ウィルスの危惧はある)でいくらでも観ることができる。

 したがって、既存のAV業界は苦境にあると思われる。AV女優のギャラも年々下がっているといわれている。ここでも、他の業種とおなじくパラダイムシフトの波が押し寄せているようである。

市場規模、女優数…AV業界は今、どうなっている?
 4千億、5千億というのは付随するビジネスや無修正配信など表に出ないカネの流れまで含めた消費者ベースの数字で純粋な国内正規盤の市場は500億円程度であるらしい。業界の二強、SODとCAが公表している年商がそれぞれ150億円程度(2014年度)なのを参考にすれば辻褄は合うだろう。

 いっぽう、矢野経済研究所の調べによれば2014年のアダルト産業全体のパイが約50兆円弱、うちアダルトビデオは703億円となっている。

参考:AV業界は今、どうなっているのか?(SPA!)

◆その後の動向

 当該事案に際し、アダルトビデオのメーカーなどでつくる団体「NPO法人知的財産振興協会」(IPPA)が6月22日、業界の健全化へ向けて、メーカーとしてもプロダクション側に働きかけていくとする声明文を発表した。

<検討する具体的な内容として>

1)プロダクションや制作会社との間でコードオブコンダクトを締結し、強要しない、違約金請求しない、同意のない作品には出させない、人権侵害を行わない、適正な報酬を支払う、等の項目を具体化し、それを承諾したプロダクション・制作会社としか取引しないようにする。

2)出演契約にあたっては、女優の頭越しに契約するのでなく、女優が参加したうえで契約を締結する。その際、プロダクションの監視により女優が自由に意思決定できない事態を防ぐため、マネジャーが同席しない場での真摯な同意があるか意思確認するプロセスを踏む。

3) 女優が出演拒絶した場合、違約金を請求せず、メーカーが損失を負担する。違約金に関しては保険制度等を活用する。

4)1)が守られていない等の苦情申し立てに対応する機関を設置し、1)が守られていない疑いが強いものについては、販売差し止めを含む救済策を講じる。

5) 女優の人格権保護のため、プライベート映像の流出・転売等を防止し、流通期間に制限を設け、意に反する二次使用、三次使用ができない体制をつくる。

 以上のようなことが検討されようとしている。はたして、それが業界全体に浸透し実施されるか否か。注目されるところである。

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