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■時代と流行|流行に関する一考察(1)流行とはなんぞや!

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流行とは、鵺(ぬえ)のようなものか

それは掴めそうで掴めない、触れればそっと逃げていく

「流行という名の不可解」 by cragycloud

人の営みとは不思議なもの

流行りのスタイルに夢中になり うつつを抜かす

いずれ廃るのは 判りきったことなのに

流行は 止められない止まらない

それが人の性なのさ とあの人はいう

欲望の趣くままに それが人間の証なのさ

(※繰り返し)
 それでいいのさ 流行

 それが命さ 流行

 生きている 流行とともに 生きている

 イン・ザ・ムード・フォー・ラブ…
 in the mood for love

 ディズ・オブ・ビーイングワイルド…
 days of being wild

人は何かに夢中になる生きもの

それが何を意味してるか なんて考えてない

いずれ過去になるのは 判りきったことなのに

夢中になるのは 止められない止まらない

いまを生きてるってことなのさ とあの人はいう

刹那にしか愛せない それでいいじゃない

(以下、※繰り返し)

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流行通信 AD:横尾忠則

「ちょっと待てよ、これは何だ?」と思ったあなた、その感覚はたぶん間違っていない。というよりは正常な証しであると思われます。

 えー、なんでしょうね、これは。何だか突然思い付いたものでして、とくに深い意味はありません。ちょっとはずかしいですが、どうせ匿名だし掲載しちゃえとばかりに公表しました。さて、どうでしょうか。そう訊かれて困るあなたの面影が思い浮かびます。……と沈黙が流れていると思うのは気のせいでしょうか?。

「流行って、何。なんで流行するの?」

 さて、本題です。「流行とはなんだ!」という非常に難しいことに果敢に挑もうと思います。途中で投げ出すかもしれません。その場合は頭がパニックを起こしたと思って、まず間違いないでしょう。あしからず。

 なお、ここでいう流行とは、表層的には、衣・食・住という人間の営みを形成する生活様式全般に渉るもの。深層的には、思想的、社会情勢などを含みます。

「流行(りゅうこう、はやり)」
1)Mode、Trend、Fad、Fashion:流行(りゅうこう、はやり)は、ある社会のある時点で、特定の思考、表現形式、製品などがその社会に浸透・普及していく過程にある状態を表していること。

2)松尾芭蕉の俳諧理論において「時とともに移ろうこと」を意味する。対義語は「不易」(いつまでも変わらないこと)。

 流行という現象は、いまでこそ大衆が中心にありますが、かつて、そう中世ぐらいでは王族や貴族にしか許されなかったそうです。欧州の中世といえば、騎士・封建制が、日本では武家が台頭した時代といえます。

 流行は、そんな時代の特権階級の占有とされていた。何故、流行が貴族や武家に必要だったかといえば、それは他人との差異化のためだった。要するに階級の違いをはっきりさせて、身分を証明するものであった。

 また、流行とは、時とともに移ろいゆく現象である。それを享受できるのは王様や貴族しかいなかったのは言うまでもない。中世の庶民に、それは望むべくも無いことであったのは間違いない。

 王族や貴族の流行は、他人の気を惹くためにも機能していた。とくに庶民に対しては服従せざるを得ないような特別な感情を抱かせる必要があった。庶民の想像を超えるデーハーな艶姿で圧倒させることが、ごく自然に行われていたようです。

 中世の王様の姿を思い浮かべれば、おのずと想像できるはずです。いかに庶民と違っていたか、それが意味するものは、支配する側と支配される側との間に深い溝があった証であり、それを超えてはならないことを表していました。

 流行は、封建時代の特権階級の地位を維持するために機能していた、と考えることができると思われます。確かではありませんが。

1)流行と技術の関係

 中世では、流行は特権階級が占有していました。それが一般庶民に広がって行くのは、19世紀になってからと言われています。(日本の江戸時代には、すでに庶民にも流行があったと思うが…ここでは省きます)

 いわずと知れた産業革命が起こり、製品の生産は機械化されて大量生産が可能となりました。資本家、企業家は、大量の製品を造るだけでなく、それを売って利益にする必要がありました。そこで、一般大衆に売りつける手段として「流行」が重要な要素として活用されていきます。

「産業革命」とは
 18世紀半ばから19世紀にかけて起こった工場制機械工業の導入による産業の変革と、それに伴う社会構造の変革のことである。

 流行を起こすということは、商品(製品)を売ることに繋がっていきます。これは、現在でも共通することであり、その元は産業革命に端を発しています。こうして、かつては王族や貴族の特権であった流行は、鎖を解き放たれて一般大衆の欲望を駆り立てていきます。

2)流行と思想の関係

 流行には、モノばかりではなく考え方(思想)も当てはまります。これまた、かつては王族や貴族にしか許されなかったことですが、産業革命後の変革で一般大衆にも、いろいろな考え方が広がっていきます。これはやがて、これまでの特権階級を廃し、新しい時代を創ろうという大きな流れに繋がっていきます。

 そして第一次世界大戦となり、大戦中にロシア帝国が、終戦後にはハプスブルグ帝国、オスマン帝国が瓦解していきます。その要因となったのが、考え方(思想)の流行でした。その大きな流れに、帝国という封建制度は抗えませんでした。

 考え方(思想)には、大きく分けて二つの流れがありました。それが、民主主義と共産主義であるのは言うまでもありません。

 考え方(思想)の流行は、ある意味では時代の変わり目を予兆している。それ故に、独裁者、あるいは独裁体制国家は、思想を弾圧する行動に躊躇をしない。これは、いまでもどこかの国で積極的に行われている。

3)流行と感情の関係

 流行は、言うまでもなく感情と密接な関係にある。言葉を変えれば、流行が先か、感情が先かともいえる。感情という理性を超えた不思議な現象こそ、流行を生み出す根源なのかもしれない。

 感情の発露は、何か原因(内的・外的な要因)があるとしても、大概は理屈を超えて発生します。それは、頭で理解することを軽く超えている。理解、理屈を超えているからこそ、流行と結びつきやすいともいえる。それはある意味で不可解と同義である。さらにいえば、人間である証しである。

 あんなモノやコトが、なんで流行したんだろう?、と後になって想うような事象がしばしば起こります。それは、まさに時代に反応した人々の感情が起こした結果と思われます。しかし、それに何故に反応するのか。それが判れば、国家や企業も苦労はしないはずである。

「感情(かんじょう)」とは
 物事に感じて起こる気持ち。外界の刺激の感覚や観念によって引き起こされる、ある対象に対する態度や価値づけ。快•不快、好き•嫌い、恐怖、怒りなど。

 感情をコントロールすることはできるか。それを簡単そうに訳知りの人たちは語るが、もし感情こそ人間である証しとすれば、それはいかがもんか。ただし、怒りは抑制したほうが、周辺だけでなく自分自身のためと思うが。

 現在、人間が行っている作業の大部分は、やがて人工知能に置き換えられるといわれている。しかし、人工知能に流行が判るか、それが課題である。要するに、流行を起こす人間の行動を、人工知能が分析できるかに掛かっている。

 個人的には人工知能に流行が判ってたまるか、という気持ちである。

ファッション化社会―欲望の先取り (1970年)
ファッション化社会―欲望の先取り (1970年)

(流行に関する一考察(1)流行とはなんぞや!おわり)

注釈:鵺(ぬえ)=つかみどころがなくて、正体のはっきりしない人物・物事。

追記:第2章に続く予定でいます。次回からは、具体的な年代と流行について書いてみたいと思っています。(例/1920年代)それから、文献資料は省きました。何故なら記憶で書いたので、何を参考にしたか確かではありません。

冒頭に掲載した詩(当人は間違いなく詩?のつもり)のようなものですが、誰か曲を付けてくれませんか。物好きな人がいたらですが…なおギャラは出ません。

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