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■時代と流行|00年代 虚栄のかがり火は燃え盛り散った

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00年代とはなんだか、鵺のようにつかみどころがない

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その時代は、テロではじまりリーマンショックで終わった

個人的には70年代〜90年代までは、リアルタイムでその時代の息吹を感じていた。しかし、何故か新世紀となった00年代の10年間には、あまり感じるものがない。それは、近過ぎて忘れたい思いがあるせいか。思い起こせば、00年代は鵺のようにつかみみどころがない。そんな気がする昨今である。

1900年代の10年紀では、それぞれエポックメイキングな出来事があった。良い事も悪い事もあったが、それぞれが十分に魅力的な出来事であった。(戦争は別であるが)ところが、00年代の最初の10年間を振り返ってみると、魅力とはほど遠いことばかりである。特に日本において、その傾向が顕著であったと思う。

もっとも世界に目を向ければ少し様子が違う。アップル、グーグルが躍進したのは00年代であった。欧州ではユーロが統一されて紙幣も発行された。ヨーロッパは新しい時代を迎えていた。一方では、9.11に代表されるイスラム過激派のテロが、その存在を世界に認識させていた。

いい面も悪い面も、言ってみれば振り子が目一杯に振られたのが00年代か。世界の金融市場は上げ底で、金融屋は投資活動を煽っていた。そして、それが頂点を迎えた2009年には、リーマンショックが起きてガラガラとそれは堕ちたのであった。

日本の00年代、それは如何に!

さて、日本の00年代はどうか。これが今回のテーマである。(ちなみに、00年代とは、2000年から2009年までの10年間を指している)
この時代の日本には、アップルやグーグルに比較できるものは何もなかった。

たしか日本の00年代は、ITバブル終焉からはじまった。90年代後半から怪しげなIT企業が跋扈し、投資資金をかき集めていた。それは、ITを核に音楽配信だとか、中小企業の支援などを行うとしていた。しかし、その実態はなんの実績も上げられず、ただ単に金を集めてはどこかに消えていった。

そんな実績を伴わない事業は、あっという間に底が割れてバブルは終わった。それが00年代の初頭であった。たぶん。

しかし、そんなITバブルをうまく乗り切って、さらに資金を蓄えた企業もいた。それが、かのライブドアであった。企業のウェブサイト構築などしていた「エッジ」は、ライブドアを買収して社名もそれに変更した。

2003年、六本木ヒルズがオープン。ライブドアはここを拠点にした。

こうしてライブドアのやりたい放題の土壌が整った。それから以後は、次々と買収を連発して規模の拡大を図った。ピークでは株式の価値が8000億円を超えたとか。しかし、それもフジテレビ買収に絡んで露呈した資金がらみの不正で摘発され、これまたあっという間に坂道を転がってしまった。

2006年、創業社長の堀江貴文は、逮捕されて刑務所送りとなった。

当時の日本の株式市場は低調であり、2008年には26年振りに7000円を下回っていた。2009年には最安値を更新した。それでも、何故かIT関係は別だったようだ。
破綻したライブドアに変わって、楽天がそれを代行する様に展開していた。

00年代の日本は、ITと金融が市場を占有していたと言っても過言ではない。

まやかし、ごまかしなどが跳梁跋扈して行き交っていた。それが、当時の日本の姿ではなかったか。そういえば、オレオレ詐欺もそうだ。そして反グレもそうである。それらの怪しげな連中はITや金融と密接な繋がりがあったと言われている。

詐欺的行為が市民権を得たように跋扈していた。それが、日本の00年からの10年間であった。これのどこに魅力があるかである。こうして、過去を辿ってみると何故、00年代に感じるものがないか分かった。そう、もう忘れたい悪夢であるからだ。そうに違いない。

00年代は、文化も魅力に乏しいこと夥しい!?

90年代の日本では、J-POPが花開いてCDがバカみたいに売れていた。アルバムが200万とか、300万枚売れるのは当たり前のようであった。ミスターチルドレン、小室哲哉、安室奈美恵などが、その代表格のアーティストである。他にも多数のミュージシャンが登場して音楽界は賑わいをみせた。

ところが、00年代になってからどうか。CDからダウンロードの時代になったせいかミュージシャンの小粒化が進展して、大ヒットも出なくなった。唯一、浜崎あゆみが存在感をみせた。しかし、それも長くは続かず時代の波に飲み込まれてしまった。そして、秋元康が仕掛けた「AKB48」が登場した。

AKB48は、以後の音楽界をリードしていく。しかし、これでいいのか音楽界と言いたい。なんせ、このグループの創立者たちは賭け事好きの集まりで、おまけに電通がくっついた怪しい集団であった。前述した企業の詐欺的行為とおなじく、ここの集団もやることは共通していた。違うか。

そんな訳で、とても文化的とはいえない。これが音楽界をリードしていくことで、以後の音楽界に暗雲を漂わせたのは言うまでもない。残念ながら、この集団の行為は他に影響を与え、音楽界は総AKB化する様となった。

しかし、見方を変えるともしAKB48が登場しなかったら、それこそ音楽界は目も当てられない有様となっていたはずだ。そういう意味では、救世主でもあった。いやはや残念、ではなくよかったというべきか。

ついでにいえば、Kポップの台頭があった。しかし、これも00年代を象徴するよからぬ行為の賜物であった。マスコミが需要と関係なく持ち上げたのは、金がらみであったのは言うまでもない。その後失速したのは、ある意味当然か。

ファッションでは、女子高生のルーズソックスがようやく終焉を迎えてハイソックスへと移行した。やまんばとかの日焼けした顔は静かにフレームアウトし、美白がトレンドになっていた。美白のCMがやたらと流れていた記憶がある。

その他のファッションはどうだったか。しかし、あまり記憶に無い。なにかあったと思うが、90年代の女子高生ファッションの強烈さに比べると、何も無いに等しいかもしれない。思えば、90年代のルーズソックスは大変なもんであった、なにが原因であそこまで流行するか不思議である。

しかし、どんだけ強烈でも時代の変化とともに消えてゆかざるを得ない。次ぎなるものが生まれるためにである。そして、時代は絶えず変化し続けてゆく、それが宿命であるかのようにー。

そして、2009年ー 
アメリカでは、バラク・オバマ大統領が誕生。その変わりマイケル・ジャクソンが死去した。日本では、株価がバブル崩壊後の最安値を更新し、衆院総選挙では、民主党が308議席を獲得、非自民が政権獲得して鳩山由紀夫が首相となった。

これにて、00年代は幕を閉じた。

<神、さもなくば残念。――2000年代アニメ思想批評 小森健太朗>
テレビアニメ放送開始からすでに、半世紀……、“敢えて言おう、本書こそが、アニメ新世紀の批評であると! “《深化》した“本格”アニメ批評宣言!

神、さもなくば残念。――2000年代アニメ思想批評

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