■時代と流行|クリスマスエクスプレスは永遠に メイド・イン・クリスマス

待ち人来たりて、ハッピーエンドとなる

クリスマスが輝いていた頃…

 かつてクリスマスに、シティホテルが若いカップルの予約でいっぱいになった時代があった。そう、80年代バブルの頃である。いまでは、いったい全体どこにそんなお金があったんだ、と不思議に思うばかりだ。

 たしか、その頃では赤坂プリンスホテル、「通称赤プリ」でクリスマスを過ごすのが最高とか、いわれていたはずだ。なんでそんなことがブームになったか、といえば当時のマスメディアが煽っていたからに他ならない。

 なんせ、いまと違ってネットなんてない時代だ。流行を伝えるのはメディアの情報が中心だった。アンアン、ノンノなどの女性誌、ポパイやホットドッグプレスなどの男性誌が、こぞってクリスマスの過ごし方などを特集したはずだ。

 そこで目にした情報に、「あー、そうなのか」、ホテルに泊まらないとクリスマスじゃないんだ、とばかりにアホなヤングがホテル予約に殺到した、という訳である。いやはや、メディアにとってはいい時代だった。

メディア=主に新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などを意味している。

 ある意味では、当時のメディアは神様のように振舞っていた、と言っても過言ではない。なにしろ情報は独占状態だし、嘘をかましても何のおとがめもなかった。それをいいことに、やりたい放題ができた。

 そして、消費者をいいように扇動し、悦に入っていた。フジテレビは、その当時の代表格だろう、それと電通が大きく力を蓄えた時代でもあった。

 そんな訳で、いまその時代を振り返ると、実に情けないことばかりが思い出される。しかし、その一方で、なぜか胸が締めつけられるような想いにもなる。それは、なぜかといえば、青春期のなせる技としかいいようがない。

 青春期のあつーい想いは、当然のように異性との交遊にある。違うか。そのクライマックスが、いわずもがなクリスマスであった。そして、当時のヤングたちのあつーい想いと、クリスマスを合体させた伝説的なCMが登場した。

 それが、JR東海のクリスマスエクスプレス(Xmas Express)である。

 クリスマスエクスプレスを紹介するのに、前置きが長くなりました。なぜなら、当方は、このCMには思い入れがあるからだ。このCMで描かれたようなシーンを胸に抱いて日々を過ごしていた。「きっといつか」、と想いながら…。

 しかし、実に残念ながら、そのような日はついにやってこなかった。CMでは、若い女性が駅に恋人を迎えにいくが、なかなかやってこない。しかし、もうこないと思った頃にようやく待ち人が現れる。そして女性は、思わず涙ぐむのだった。

 し、しかーし、当方の場合は違ったぞ。待てど暮らせど、待ち人は現れず、1時間は優に佇んでいた。そして、とぼとぼと帰ったのであった。

「きっと君はこなーい」とCMで歌われているが、その通りになった。

 実に情けなかったが、それでも当方はくじけずに、おなじことを2度どころか、3度以上は繰り返したはずだ。「きっといつか」と念じながらである。いやはや、我ながら「虚仮の一念岩をも通す」の態度はたいしたもんだ、と思うばかりだ。

虚仮の一念岩をも通すの意味
「一念岩をも通す」は、史記、韓詩外伝などにも登場する「不可能に思えることでも一途に取り組めば成就する」という意味の故事。

 あわせて、「愚か者でも辛抱強く一途に(愚直に)取り組めば、どんなことでも成就する」という意味で用いられる。

 そんな情けないクリスマスを胸に仕舞い、時が過ぎた頃、クリスマスキャンペーンの仕事をすることになった。そのとき、頭を過ぎったのは言うまでもなく、「クリスマスエキスプレス」の胸キュンシーンだった。

 そして、当方は企画書のタイトルに「メイド・イン・クリスマス」とでかでかと書いていた。それは、そのまま広告や販促のコピーとして使われた。

 馬鹿騒ぎのバブルもはじけた、92年頃のことである。


牧瀬里穂
引用:https://stat.ameba.jp/user_images/20170507/16/gengen13/e0/f4/j/o0452027213931670968.jpg?caw=800

クリスマスエクスプレス 1988年〜92年

 JR東海の「クリスマスエクスプレス」は、いまさら言うまでもなくクリスマスを題材としたCMとして、いまなお燦然と輝いている。

 80年代後半の雰囲気がよく表現されたそのCMは、当時のヤングのハートをぐっと掴んだのは間違いない。いまでは、あの胸を締め付けるようなシーンは、もはや再現することはできないだろう。なんせ、スマホやネットで簡単に繋がるからだ。

 想像する、想いを馳せる、などという非合理的なことは遠い彼方へと消えた。いますぐに、いつでもそばに、というなんとも即物的な時代になったからだ。もはや、誰も待つことはない。スマホ片手に電話するか、LINEをするかである。

 とにかくスマホでは、あの名シーンは再現できない。したがって、より一層あの名シーンは、過ぎ去った時代のなかで輝いたままとなっている。

 クリスマスエクスプレスは、けっして古くはならない。この世に男と女がいる限り、あの胸キュンシーンは永遠となるに違いない。(少し大げさではあるが)

クリスマスエクスプレスの女神たち

 1988年に登場したクリスマスエクスプレス第一弾は、深津絵里さんがミューズとなっていた。深津さんのつんとした表情がなんともいえない。

 第二弾は、多くの人が記憶に残したであろう名作となった。ミューズは、牧瀬里穂さんである。個人的には、このバージョンが一番好きである。それは、イコール牧瀬さんが可愛いと同義であるが、いやはや。

 当該CMは、1992年まで続いて、さらに2000年に復活している。

 CMの楽曲は、すべて山下達朗の「クリスマス・イブ」である。この名曲がCMを一層盛り上げていたのは間違いない。

<主演女優とキャッチコピー>
1988年 深津絵里 『帰ってくるあなたが、最高のプレゼント。』
1989年 牧瀬里穂 『ジングルベルを鳴らすのは、帰ってくるあなたです。』
1990年 高橋理奈 『どうしてもあなたに会いたい夜があります。』
1991年 溝淵美保 『あなたが会いたい人も、きっとあなたに会いたい』
1992年 吉本多香美 『会えなかった時間を、今夜取り戻したいのです』
2000年 星野真理 (深津絵里,牧瀬里穂) 『何世紀になっても、会おうね。』


深津絵里
引用:http://natsukoma.up.n.seesaa.net/natsukoma/image/JREXS02.jpg?d=a1

「ひとは、きっと、ひとりじゃない」というナレーションにはグッとくるものがあります。当方は、クリスマスは好きじゃないが、このCMは好きである。

若者の「クリスマス離れ」
「若者の6割は自分だけの時間や空間を大事にしたい」――若者の“クリスマス離れ”の原因について、調査会社のリサーチ・アンド・ディベロプメントが12月21日、こんな調査結果を発表した。年々盛り上がりを見せるハロウィーンに対し、クリスマスの勢いが弱まりつつある原因を分析したという。

 同社は「スマートフォンでいつでもどこでもつながれる時代だからこそ、若者は誰かとつながっていないと不安」と分析。「クリスマスは特定の親密な人と過ごして関係を深めるもの。自由さや自分らしさを求める若者の感覚とは遠いのでは」と若者の“クリスマス離れ”の原因を説明する。

冒頭写真:牧瀬里穂
引用:https://www.jiji.com/news/handmade/special/feature/v4/photos/20140926superexpress50years/017909693.jpg

山下達郎クリスマス・イブ(2017クリスマス・スぺシャル・パッケージ)
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